《1日目》鹿児島中央 9:00 → 竜ヶ水駅 9:15

鹿児島中央駅で宮崎行きに乗り換え。定刻到着のおかげで、時間の余裕を取り戻せた。一本早い列車に乗り、途中下車する駅を探すことにした。列車はブラックフェイスの817系。

走るうちにぐんぐん雲が切れてきたので、桜島がいちばん大きく見える竜ヶ水(りゅうがみず)駅で下車。桜島を眺めると、鹿児島に来たと言う実感がわく。

砂防ダムのある斜面を登るとちょうど「はやとの風」がやってきた。鹿児島中央駅と吉松駅を結ぶ観光列車だ。「青春18きっぷ」では乗車できない特急列車なので、こうして外から走りを眺めるだけである。

《1日目》竜ヶ水駅 9:56 → 隼人駅 10:22  → 吉松駅 11:43

竜ヶ水駅から隼人駅までは、右側に錦江湾を眺めながら、隼人駅からは肥薩線のディーゼルカーで吉松へ。列車のすぐ上を飛行機が飛ぶ。鹿児島空港が近いのだ。でも周りは森と山ばかり。

11時43分、吉松駅に到着。ホームの真ん中にあるのは今時珍しい個人経営の売店「たまり」。「木の折に入った幕の内駅弁」という今や絶滅危惧種を造っているのでぜひ買いたかったのだが、午前中にしてすでに売り切れていた。

「今日はね、お弁当、全部売れちゃったんだよ。ごめんね」と、吉松駅のお弁当屋さん「たまり」のおじさん。

《1日目》吉松 11:49 → 人吉 13:05

吉松駅から人吉駅までは「いさぶろう・しんぺい」に乗車。35kmの区間にループ線や二つのスイッチバック、日本三大車窓など、鉄道の旅を楽しむポイントがぎっしり詰まっている。

水戸岡鋭治デザインによる車内は、木がたっぷり使われて観光特急並みの内装。しかも普通列車なので曜日に関係なく毎日運転。「青春18きっぷ」があれば指定券(520円)を購入するだけでだけで利用可能と、ありがたいことずくめの列車である。

途中、スイッチバックの真幸(まさき)駅で5分停車。鹿児島県と熊本県を結ぶ列車だが、この駅だけは宮崎県にある。

地元の人たちが出す店に並んでいたのは鹿児島伝統スイーツの「あくまき」や地鶏のゆで卵、もろみに蜂蜜、大根漬け。早い話が「南九州の美味しいもの」がいっぱいなのだ。

真幸駅~矢岳(やたけ)駅の「三大車窓」ポイントは晴れ。列車は最高のビューポイントでしばらく停車。景色の見える方の窓際にはみんなが集まって交代で眺める。

午前中の雨も上がり、なかなか見えない桜島も彼方に浮かび上がった。

一部の観光鉄道を除けば、日本でいちばん観光列車が多いのは、この肥薩線ではないだろうか。

13:05、 人吉駅に到着。ここで「SL人吉」に乗り換える。ちなみにここ人吉駅には、日本で唯一の「現役石造り機関庫」がある。

嬉しいことにこのSL人吉も「青春18きっぷ」で乗れる普通列車扱いだ。乗車前に機関庫を訪れ、運転準備中の様子を見学する。

さいわいこのあたりは熊本地震でも大きな被害は出なかったそうだ。ただ訪れる観光客は一時期大いに減ったという。孫を連れてときどき訪れるという老人が「来てくれるだけでもよかです」と笑顔で話してくれた。

そして、人吉駅を訪れたら、どんなに満腹でも買うぞ!と心に決めていたのが人吉駅弁。昔ながらの弁当売り箱で売ってくれるのも楽しいが、なにより美味しいのがたまらない。

「以前はお客さんも少ないから立ち売りも止めようかと思ってた所に、SL列車なんかが来てくれたおかげで続けることができました」と駅弁を売る菖蒲さん。

そして買ったお弁当を携え、いよいよSL人吉に乗車した。

>>次ページへ続く

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