枕崎線は「自然に一番近い鉄道」かもしれない。沿線の木の枝は容赦なく車体に当たり、ばさっ!ザサッ!と音を立てる。怒られるかもしれないが、ワイルドでかなり楽しい。
頴娃(えい)駅を過ぎたころから雨が上がり始めた。このあたりから薩摩富士・開聞岳(かいもんだけ)が見え始める。
指宿(いぶすき)枕崎線は知られざる絶景路線だ。枕崎駅~山川駅では、開聞岳が悠々とそびえている下に、木々を手入れした箱庭のような沿線風景が広がる。
速度制限のエリアを抜けたという案内放送が入り列車は一気にスピードアップする。指宿に近づくにつれ学生の数が少しずつ増え始めた。
三人がけの席に座った高校生。今日は試験か?土曜日なのに、鞄をデスクに勉強をしていた。
隣のボックスシートに座った高校生。「これおいしいんですよー」と、地元のミルクキャラメルをくれた。キャラメルを人からもらったのなんて何年ぶりだろう。
7時4分。日本最南端の西大山駅に到着。遅れているから停車時間はごくわずか。運転士さんにお願いして、8秒だけ最南端の駅を「巡礼」して車内に戻る。
普通列車は、学生列車でもある。18きっぷで旅行ができるのも、ふだん学生が使って路線を維持してくれているおかげ。ちょっと感謝しながら通学を見送る。
南鹿児島駅で、列車交換の待ち合わせ中。枕崎駅から鹿児島中央駅まで乗車した列車。
もともと長時間停車になっていたため、こういう所で遅れがどんどん取り戻される。停まってる間に遅れが戻るような、ヘンな気分。
最初の乗り換え駅、鹿児島中央駅に到着。九州新幹線開業まで「西鹿児島」と名乗っていた駅。かなり遅れるかと思った到着時間は定刻通りに戻っていた。
さあ、この駅で宮崎行き普通列車に乗り換えだ。