火山列島である日本には、数限りない温泉が湧いています。効能はもちろん、源泉かけ流しや露天風呂の有無など千差万別です。あまりにも多すぎて、どこを選べばいいのか悩んでしまいますよね。そんな時は、長く愛されてきた歴史のある温泉を選ぶといいものです。
そこで今回は『サライ.jp』に掲載された、温泉ソムリエや温泉入浴指導員の資格を持つ関屋淳子さんのコラム「魅惑の温泉案内」から、1000年以上の歴史を誇る温泉5つをご紹介します。
温泉やお店の営業時間などのデータは変更になっている場合がありますので、ご確認のうえお出かけください。
■1:夏目漱石や正岡子規ゆかりの地にこんこんと湧く道後温泉
道後温泉がある愛媛県の松山は正岡子規のふるさととしても知られています。松山市内には「松山市立子規記念博物館」があり、道後温泉本館3階の一室は、子規と親交があった夏目漱石ゆかりの部屋「坊っちゃんの間」もあるなど、文豪たちの足跡を辿ることができます。
現在、道後温泉本館は保存修理工事のため、2階以上は休館中ですが、1階の浴場は営業中。全館営業再開は令和6年7月の予定です。
道後温泉|文豪が闊歩した湯町をぶらり【魅惑の温泉案内 第85回】
■2:豊臣秀吉が愛した茶褐色の金泉と透明な銀泉を持つ有馬温泉
兵庫県の六甲山北側に湧く山峡の温泉地、有馬温泉。その歴史は、舒明天皇(593〜641年)や孝徳天皇(596〜654年)の時代にまでさかのぼります。奈良時代には僧・行基が温泉寺を建立し、さらに豊臣秀吉が通ったと言われている由緒ある温泉地です。
濃厚な温泉成分を含み、殺菌作用があり茶褐色の金泉、飲泉もできる透明な銀泉と、異なるお湯を体験することができます。
有馬温泉|茶褐色の金泉と透明な銀泉ともに楽しみたい【魅惑の温泉案内 第42回】
■3:全国屈指の強酸性の湯をたたえた蔵王温泉
冬はスキー客で賑わい、夏は御釜や地蔵岳、ドッコ沼などを回るトレッキングが盛んな蔵王連峰。標高約900mに位置する蔵王温泉は、開湯1900年と言われています。
全国屈指の強酸性のお湯で、街を流れるのは、その名も「酢川(すかわ)」。レモンよりも強い酸性を持つお湯は、浸かるだけで美肌効果が期待できるそうです。
蔵王温泉|美肌効果も期待できる全国屈指の強酸泉【魅惑の温泉案内 第32回】
■4:信州最古といわれる、共同湯巡りも楽しい別所温泉
樹齢1200年といわれる愛染カツラがある北向観音や、国宝・木造八角三重塔を有する安楽寺などがあり、一帯が信州の鎌倉と言われている長野県上田市。ここにある別所温泉は戦国武将・真田幸村のゆかりの湯です。
幸村の隠し湯と言われる「石湯」のほか、全部で3つの共同浴場があり、浴衣姿でそぞろ歩きするのが似合う温泉街です。
別所温泉|歴史好きにはたまらない真田幸村の隠し湯【魅惑の温泉案内 第37回】
■5:日本最初の国立公園にある自然豊かな雲仙温泉
日本で最初に指定された国立公園のひとつで、長崎県と熊本県にまたがる雲仙天草国立公園。雲仙側の中心にある雲仙岳の南に広がる高原に位置する雲仙温泉は、蒸気が噴出し、硫黄のにおいが立ち込める雲仙地獄が見どころ。遊歩道があり、地獄巡りができます。
泉質は強い酸性の硫黄泉。切り傷や湿疹に効能があり、美白効果も期待できます。
雲仙温泉|地獄めぐりと国際的な避暑地の顔を持つ温泉地【魅惑の温泉案内 第86回】
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疲れを癒やし、リラックスさせてくれる温泉。湯に浸かるだけでなく、その地の歴史を感じるのもまた旅の楽しみのひとつ。ぜひ出かけてみてください。
文/編集部