宮城と山形の県境にそびえる蔵王連峰。山形県側の蔵王は、冬はスキー客で賑わいます。夏季は山頂の火口湖である御釜や地蔵岳、ドッコ沼などを回るトレッキングが盛んで、高山植物の愛好家も多く訪れます。
標高約900mに位置し、全国屈指の強酸性の湯がこんこんと湧き出ているのが、蔵王温泉です。開湯1900年とされ、温泉街には3か所の共同浴場があります。
温泉街は昔ながらの風情が漂い、下駄の音を鳴らして歩きたくなります。湯街に平行して流れる川は、その名も「酢川(すかわ)」といい、強い硫黄の香りが漂います。
温泉はレモンより強い強酸性ですので、肌への刺激が強いので、体を強くこするようなことは避けましょう。硫黄分が多いので、表皮の殺菌作用や皮膚を強くする作用がありますから、浸かるだけで充分、美肌効果が期待できます。
風情ある旅館も多く、各宿では、山形牛や、郷土料理の芋煮などが味わえます(写真は深山荘高見屋)。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。