2023年4月14日(金)、東急歌舞伎町タワーが開業します(ホテル開業は5月19日)。
タワーが建つのは新宿TOKYU MILANO(旧新宿東急文化会館)とグリーンプラザ新宿の跡地であり、古くは東京スケートリンクがあった場所。1956年にスケートリンク跡地に屋内スケートリンク場や映画館を有する新宿東急文化会館が開業し、歌舞伎町の歴史を語るうえで欠かせないスポットのひとつとなりました。
シネシティ広場を囲むように映画の街として盛り上がっていった歌舞伎町
1956年の新宿東急文化会館に続いて、新宿コマ劇場などの劇場や映画館が続々オープンし、歌舞伎町は娯楽・エンタメの街として賑わいを見せてきました。
ですが、2008年にコマ劇場が閉館、新宿TOKYU MILANOも老朽化などを理由に14年に閉館することとなりました。そんななか徐々に夜の街としての印象が強くなってしまった歌舞伎町でしたが、もともとこの町が作られた時から都市計画として当時の町会長たちが目指してきた「家族連れが歩いて楽しめる大衆娯楽のある道義的繁華街」という街の源流は失われることはありませんでした。
ホテル・映画館・劇場……充実の複合タワー
この地に新たに開業する48階建ての東急歌舞伎町タワーは、17階以上に趣の異なる2つのホテルブランドが入り、下の階にはライブホール、劇場、映画館などが入る大型複合施設です。
上層階にあるレストランやホテル客室は、大きな窓から新宿駅やビル群を一望できる開放的なつくりで、街の喧騒を忘れてゆったり過ごせる空間となっています。一方、下層階の飲食店やエンタメゾーンは、歌舞伎町の街の賑わいを感じられる空間で、同じタワーの中でも様々な楽しみ方ができます。
エンタメとラグジュアリー、異なる趣の2つのホテル
20~38階に入るのは、ライフスタイルホテル「HOTEL GROOVE SHINJUKU,A PARKROYAL Hotel」。
音とアートにこだわったこのホテルでは、期間限定で「LIFESYLE HOTEL EVA」と題し、ファンの間で「聖地」とも言われた歌舞伎町・新宿ミラノ座にゆかりのホテルとしてエヴァンゲリオンとコラボ。5名のパイロットをイメージした部屋にも宿泊できます。カードキーもオリジナルデザインという徹底ぶりで、宿泊者はそのカードを持ち帰ることも可能だそう。
各客室にはマーシャルのスピーカーを用意するなど、コラボルームに限らず、音とアートを大切にした空間づくりがされています。
39~47階に入るのは天空のラグジュアリーホテル「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」。45~47階の客室はペントハウスになっていて、ペントハウス宿泊者専用のラウンジや、最上階にはスパラウンジが用意され、新宿の天空で非日常に浸ることができます。
ミラノ座の歴史を未来へ紡ぐエンタメゾーン
大衆娯楽とともに文化発信を続けてきた歌舞伎町とミラノ座の歴史が特に感じられるのが、劇場や映画館の入るフロアです。
6~8階には劇場「THEATER MIRANO-Za」。新宿ミラノ座の名前を継承したこの劇場は、演目に合わせて客席レイアウトが変えられる約900席の空間となっています。
9~10階の映画館「109シネマズプレミアム新宿」は、全席プレミアムシートで、座席の大きさは一般的なシネコンの最大約2.3倍。2種類のプレミアムシートはリクライニング機能も備え、足元もゆったりとしたスペースを確保しており、快適な状態で映画の世界に没入できます。
その他、地下にはライブホール「Zepp Shinjuku(TOKYO)」、ナイトエンターテインメント施設「ZERO TOKYO」が入り、音楽やパフォーマンスイベントなどで歌舞伎町のエンタメシーンを盛り上げていきます。
景観の素晴らしいレストランから歌舞伎町ならではのフードホールまで多彩な個性を放つ飲食店
レストランは、使いたいシーンに合わせて選べる個性的なラインナップ。
2階の歌舞伎横丁は、北海道から沖縄まで各地のソウルフードが並ぶ全10店舗のフードホールで、鮮やかなネオンやミラーボールが彩る異空間が広がります。一方、17階のJAM17 DININGやBARはテラスとつながり開放的で落ち着いた雰囲気。今回の開業にあわせて開発された歌舞伎町オリジナルクラフトジン「Ne10」(エヌイーテン)もいただけます。
45階には日本全国の食材を使い素材にこだわったモダンフレンチ、鉄板焼き、寿司の店舗が入り、喧騒を忘れて食事を楽しめる空間が用意されています。高さ200mからの壮大な景観と共にゆったりとした時間を過ごせそうです。
1階には気軽に利用できる和牛やタコスのレストランもあり、用途に合わせて食事シーンをセレクトできるのも嬉しいポイントです。
旅行客にも便利な空港アクセスバスを新設
タワー1階には空港アクセスバスのバス停も設置され、羽田空港へは最短35分、成田空港には最短1時間30分でアクセスできるようになります。空港と歌舞伎町がダイレクトにつながることで、東京を訪れる観光客が新宿を拠点に旅を楽しみやすくなることでしょう。同じ1階にはヤマト運輸の宅急便受付窓口も設置され、身軽な旅をサポートしてくれます。
新たなエンタメの拠点として、また、観光の拠点としての機能を備えて開業する東急歌舞伎町タワー。予定されているこけら落とし公演には話題作も続き、注目度も高まっています。歌舞伎町が世界中から支持され愛される“大衆娯楽の街”となるための大きな一歩となりそうです。
『東急歌舞伎町タワー』
東京都新宿区歌舞伎町1-29-1
公式サイトhttps://www.tokyu-kabukicho-tower.jp/
取材・文/塚原智美