
英虞(あご)湾の夕景に浮かぶ志摩観光ホテル ザ クラシック。G7伊勢志摩サミット2016の会場となった。
三重県志摩市賢島(かしこじま)の高台にある名門ホテル、「志摩観光ホテル」。このホテルを長年仕事場とした小説家・山崎豊子の「華麗なる一族」の冒頭は、「陽が傾き、潮が満ちはじめると、志摩半島の英虞湾に華麗な黄昏が訪れる。」という一文で始まったが、筏浮かぶ英虞(あご)湾に夕陽が沈む光景は、まさに一幅の絵画のように美しい。
志摩観光ホテルは、海の幸溢れる美しい自然に抱かれた賢島に、1951年、戦後初の純洋式リゾートホテルとして誕生した。設計は、サライ世代には懐かしい迎賓館(旧赤坂離宮改修)、日比谷日生劇場、都ホテル大阪(現・シェラトン都ホテル大阪)などを手掛けた名建築家・村野藤吾氏であった。
今年、志摩観光ホテルは、昔の面影を残した寛ぎのスペース「ザ クラブ」とともに、伝統と文化の香り漂う「ザ クラシック」、モダンで全室スイートルームの「ザ ベイスイート」という特徴の異なるふたつの客室棟と合わせて、3つの趣を持つ滞在型国際高級リゾートとしてリニューアルオープンした。

客室すべてが約100平方m以上の広さを誇る「ザ ベイスイート」。内装はモダンでありながら日本の伝統美を取り入れて落ち着いた雰囲気を醸し出している。
そしてこの新しい志摩観光ホテルを舞台に、「G7伊勢志摩サミット2016」が開催されたのは記憶に新しい。去る5月、日、米、英、仏、独、伊、加の7か国の首脳などが参加して、2日間にわたり会議が開催された。

各国首脳は、「ザ クラブ」のリアンでランチ、「ザ クラシック」の「ラ・メール ザ クラシック」でディナーを満喫した。
志摩観光ホテルでは、このリニューアルオープンとサミット開催を記念して、世界の首脳を迎えた極上のもてなしを体験できる「伊勢志摩サミット開催記念宿泊プラン」を提供している。
内容は、サミットで各国首脳が宿泊した同じスイートルームに宿泊し、実際に使用したサミットテーブルで同タイプのフルコースを楽しみ、専属のバトラー(ホテルの専門スタッフ)が伊勢神宮参拝やプライベートクルーズ、スパなどあらゆる要望にできる限り応じるというもの(プレミアムプラン、2名2泊5食80万円~、2名1泊2食50万円~、ともに1日1組限定)
また、特別食事メニューをサミットテーブルで楽しむ宿泊プラン(1名1泊2食6万6000円~)、特別食事メニューだけを楽しむプラン(1名ランチ2万円、1名ディナー3万8000円)など、サライ世代の好奇心をくすぐる多彩なメニューも用意されている。

某首脳が宿泊した「ザ クラシック」の「ロイヤルスイートルーム」。現在も照明や椅子などを始め、随所に建築家・村野藤吾氏の意匠が色濃く残されている。
伊勢志摩サミット記念ディナーでは、各国首脳が一口味わった途端話すのをやめて食べることに没頭したという、伊勢海老を丸ごと使った「伊勢海老クリームスープ カプチーノ仕立て」など、まさに志摩の海の幸ならではの絶品料理を始め、伊勢志摩をはじめとした三重の食材を存分に味わうことができる。

「ラ・メール ザ クラシック」のサミットテーブルでは各国首脳が滋味溢れる特別料理に舌鼓を打った。宿泊及びディナープランではこの特別料理をイメージした同じタイプのディナーが振る舞われる。

特別料理のメニューは、「海の幸トマトの魅力を様々な形で」、「伊勢海老クリームスープ カプチーノ仕立て」、「鮑のポワレ あおさ香る鮑のソース 伊勢海老ソテー」、「伊勢茶の香りをまとわせた松阪牛フィレ肉 宮川育ちのわさびを添えて」、「ミルクチョコレートと柑橘のマリアージュ」と、伊勢志摩の山海の幸が堪能できる。
このほか宿泊者には、サミットで首脳会議が開催された場所や記念撮影が行われたスポット、志摩観光ホテルの歴史や意匠、館内に飾られた藤田嗣治氏の大作などを巡る館内見学ツアーも実施しているという。

「ラ・メール ザ クラシック」に飾られている「野あそび」は、藤田嗣治の日本に残る数少ない大作のひとつ。この絵画を鑑賞するために来る客もいるという。
さあ、この秋、伊勢志摩に旅してみるのはどうだろうか。大きな窓とゆったりと寛げるシートが完備された近鉄の観光特急「しまかぜ」に乗って、日本人の心の故郷・伊勢神宮を参拝し、世界の首脳の心と舌を感動させた高級リゾート志摩観光ホテルで、極上の滞在を満喫する旅。なかなか魅力的ではないか。
【志摩観光ホテル】
所在地/三重県志摩市阿児町神明731
電話/0599・43・1211
(都ホテルズ&リゾーツ宿泊予約センターは0120・333・011)
※「伊勢志摩サミット開催記念プラン」についての詳細は下記ホームページをご覧ください。
http://www.miyakohotels.ne.jp/shima/index.html/
取材・文/田中宏幸
