■愛猫の認知症に向き合う
動物病院での検査の結果、健康面に問題がなく、高齢に伴う軽い認知症や認知機能の低下との診断が出れば、少しでも症状が進むのを防ぐために、ビタミンEやビタミンCなどの抗酸化成分や、DHA、EPA配合のシニア猫用フードで補っていくのもひとつの方法です。認知症の猫のためのサプリメントもあります。
人が、人間ドッグなどで定期検診するように、猫も年をとってきたら、半年から1年に一度くらいはきちんと検診をすることが望ましいです。血液検査、触診、歩き方など、いろいろな機能を見てもらい、健康チェックをすることで、より長く健康でいられることになるのです。
とにかく、自己判断しないこと。行動が今までと違う、と思ったら、まずは動物病院で診察してもらって下さい。様々な病気の可能性をチェックして、全てクリアした後で初めて、単なる高齢による行動の変化というホッとできる結論が出るのだと思って下さい。
大切な家族を守るには、それくらいの覚悟が大事なのです。
※参考文献:Landsberg, G.M., Denenberg, S., Araujo, J.A., 2010. Cognitive Dysfunction in Cats: A Syndrome we Used to Dismiss as ‘Old Age’. Journal of Feline Medicine and Surgery 12: 837
指導/入交眞巳(いりまじり・まみ)
日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)卒業後、米国に学び、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。日本ではただひとり、アメリカ獣医行動学専門医の資格を持つ。北里大学獣医学部講師を経て、現在は日本獣医生命科学大学獣医学部で講師を勤める傍ら、同動物医療センターの行動診療科で診察をしている。
■わさびちゃんファミリー(わさびちゃんち)
カラスに襲われて瀕死の子猫「わさびちゃん」を救助した北海道在住の若い夫妻。ふたりの献身的な介護と深い愛情で次第に元気になっていったわさびちゃんの姿は、ネット界で話題に。その後、突然その短い生涯を終えた子猫わさびちゃんの感動の実話をつづった『ありがとう!わさびちゃん』(小学館刊)と、わさびちゃん亡き後、夫妻が保護した子猫の「一味ちゃん」の物語『わさびちゃんちの一味ちゃん』(小学館刊)は、日本中の愛猫家の心を震わせ、これまでにも多くの不幸な猫の保護活動に大きく貢献している。
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