5月の末に里親のもとに迎えられたもしもし(左)とはいはい(右)。

5月の末に里親のもとに迎えられたもしもし(左)とはいはい(右)。

「空前の猫ブーム」といわれる今だからこそ、外で過酷な生活を送る野良猫たちの「猫生」にも思いを馳せて欲しい――。3年前、SNSで話題になった子猫のわさびちゃん。飼い主だった母さんは、今も子猫の保護活動を続けている。5月の末に2匹の子猫の里親が見つかってほっとしたのも束の間、6月18日に新たに生まれたばかりの6匹の子猫を保護して、大忙しの日々を送っている。

5月27日、一匹の子猫が里親さんに家族として迎えられた。保護名「はいはい」。新しい飼い主さんには「VIVO(ビーボ)」と名づけられた。遅れること半月の6月13日、はいはいの兄弟「もしもし」も、新しい家族との生活がスタートした。

この子猫たちは3月31日、札幌市南区の住宅街で、野良の母猫が生んだ6匹のうちの2匹。本来なら過酷で辛い野良猫生活を強いられるはずだった。

でも――。6匹の子猫は、わさびちゃん母さんに助けられた。

わさびちゃん母さん(以下、母さん)は、カラスに襲われ瀕死の状態の子猫わさびちゃんを父さんと一緒に救出、懸命の介護をし、日に日に元気になっていったわさびちゃんの様子をツイッターで発信したことで知られる。

懸命に生きようとするわさびちゃんの姿や、小さな命をいつくしむ父さん母さんの姿を綴った書籍『ありがとう!わさびちゃん』(小学館)は、多くの人々に影響を与えた。わさびちゃんが亡くなった後、「わさびちゃんが教えてくれたこと」を胸に、野良猫の保護活動を始めた母さんが、最初に保護した子猫が一味ちゃんたち兄妹子猫。その成長の記録も『わさびちゃんちの一味ちゃん』としてまとめられた。

その結果、野良猫たちの実態や実際に保護され幸せを掴んだ猫たちのルポが多くの人を勇気づけた。さらに、『ありがとう!わさびちゃん』を原作とする児童書『わさびちゃんとひまわりの季節』も小学生の推薦図書に選ばれている。この3冊の「わさびちゃんシリーズ」は、累計21万部を突破するベストセラーになり、多くの不幸な猫たちが救われるきっかけを作った。

わさびちゃんとの出会いが全ての始まりだった。

わさびちゃんとの出会いが全ての始まりだった。

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