■自己判断は禁物!病気の可能性も
長く一緒に暮らしていると、高齢になった愛猫が、急に夜鳴きをするようになったとか、今までちゃんとできていたトイレが上手にできなくなったとかいった変化に気づく日がくるでしょう。そんな時に大切なのは、「もうこの子もおばあちゃんだからねぇ」とか「おじいちゃんだから仕方ないね」などと、自己判断してしまわないこと。
例えば、夜鳴き。高齢になると夜鳴きをするようになる猫もいますが、その理由が単に高齢のため認知症になったことで、それまでしていなかった夜鳴きをするようになったのか、何らかの病気など別の要因で夜鳴きをしているのか、動物病院できちんと検査をして、原因を確かめた方がいいと思います。
夜鳴きには、それぞれの猫にそれぞれの理由があると思います(寂しい、お腹がすいたなど)。高齢猫の場合、ご飯を食べたのに忘れてしまって催促で夜鳴きするとか、自分がどこにいるか分からなくなって不安で夜鳴きしている場合は、認知症の可能性もあります。
もちろん高齢猫で目が見えにくくなったり、耳が聞こえにくくなったりして不安で夜鳴きをするとか、飼い主さんの気をひくためとかいう可能性もありますが、やっかいなのは、甲状腺機能亢進症という病気の疑いも考えられることです。
甲状腺ホルモンが過剰になると、走り回ったり、落ち着きがなくなったりして、攻撃的になったり、痩せてきたりすることもあります。ですから、夜鳴きも甲状腺機能亢進症の症状かもしれないのです。
嘔吐にしても、猫はよく毛玉を吐きますし、年を重ねるごとに抜け毛も増えて毛を吐く量も増えるかもしれません。でも、それ以外にも腎臓病だったり、癌の可能性もありますから、やはり検査をした方がいいでしょう。
うんちが緩いと一口にいっても、血便かどうか、下痢気味かどうか、逆に便秘かどうかによって、単に高齢になったからということ以外に様々な病気の可能性が秘められています。
よたよたしているな、と思っても、高齢で足腰が弱くなったためではなく、実は神経や関節に問題がある可能性だってあります。口内炎や歯周病では口をくちゃくちゃしたり涎をたらすこともありますから、「年だから口の絞まりが悪いのね」と自己判断せず、やはり検査をすべきです。
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