空前の猫ブームといわれる昨今。でも、猫の生活や行動パターンについては、意外と知られていないことが多いようです。
人間や犬の行動に当てはめて考えて、まったく違う解釈をしてしまっていることも少なくありません。昔から猫を飼っているから猫の性格や習性を熟知していると思っていても、じつは勘違いしていたということが結構あるようです。
そこで、動物行動学の専門医・入交眞巳先生(日本獣医師生命科学大学)にお話を伺いながら、猫との暮らしで目の当たりにする行動や習性について、専門的な研究に基づいた猫の真相に迫っていきます。
■11歳~14歳の猫の約1/4に認知機能の低下の傾向がある
今年1月に日本ペットフード協会が発表した日本に住む猫の最新の平均寿命は、15.75歳です。また、家の外に自由に出入りしている猫の平均寿命が14.22歳であるのに対し、完全室内飼いの猫の平均寿命は16.40歳。外に出ればそれだけ事故に遭ったり、ケガをしたり、病気に感染する可能性が高まってしまいます。
完全室内飼いなど猫の飼い方に関する意識も徐々に高くなってきているおかげで、猫の平均寿命は年々延びています。そこで気になるのが、飼い猫の高齢化です。人と同じで、猫も年をとるにつれ、体力が低下したり、体調も崩しやすくなってきたりします。
身体能力の衰えばかりではありません。実は、猫にも認知症というべき症状があることがわかっています。
年を取ってくると、若いころよりも元気がなくなる、寝てばかりいる、食欲が落ちた、高いところに登れなくなる、頻繁に吐く、うんちが緩い、ふらついている、徘徊するなどといったことが増えてきます。人もそうですが、歳をとると忘れっぽくなって、さっき食べたばかりなのに何度もご飯を催促するといったこともあるようです。
猫の場合、11歳~14歳(人間でいうと60歳~72歳くらい)の猫の28%、15歳(人間んでいうと76歳くらい)の猫の50%に認知機能の低下が見られるといわれています。(※)
私が以前飼っていた小太郎も、迷い込んだネコだったので正確な年齢はわかりませんが、およそ13歳で亡くなりました。リンパ腫だったのですが、有名なエッティンジャーという内科の教科書でリンパ腫を発病する平均年齢は13歳なので、どうも小太郎は分厚い教科書を読んで実践してしまったようです。
病気の愛猫を目の当たりにするのは辛いものです。病気にならないようフードに気を付けたり、適度な運動、精神的に豊かな暮らしをさせるよう心掛けるといいですね。愛猫の様子を注意深く見ていて、変化にいち早く気づいて対応できるようにしておくのもいいでしょう。
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