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取材・文/沢木文

結婚25年の銀婚式を迎えるころに、夫にとって妻は“自分の分身”になっている。本連載では、『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、妻の秘密を知り、“それまでの”妻との別れを経験した男性にインタビューし、彼らの悲しみの本質をひも解いていく。

* * *

結婚をしてから妻は20キロ太った

お話を伺ったのは、宮本光昭さん(仮名・63歳・会社役員)。

結婚35年、3歳年下の妻に変化があったのは、年末に行われた同窓会以降だったという。

「還暦記念の同窓会みたいなものがあって、妻はずいぶん楽しそうにして帰ってきた。行くまでどうしようか迷っていたから、『行ってよかったね』と伝えると、ギョッとした顔をしたことがおかしいといえばおかしかった」

光昭さんに、妻のことを聞くと、「肝っ玉母さん。前はかわいかったんだけどね」と言う。聞けば、結婚してから妻は体重を20キロ増やしたのだ。

「まあ、みっともないくらいブクブク太っていった。結婚前は、小柄で華奢でかわいくて、連れて歩いていると、振り返られることも多かった。それなのに、30歳で長男を、32歳で長女を産んでから、雪ダルマみたいに太っていった。30代後半には、体重が70キロを超え、ほっそりしていた指が、グローブみたいにパンパンになって、『人間はここまで太れるのか』と感心してしまった」

妻が痩せているときは、夫婦だけの時間やデートもあったけれど、太ってからはどこにもいかなかったという。

「妻には妻の人間関係があるし、私には私の交際がある。そもそも、働き盛りの30~50代の夫婦が、連れ立って歩いているって感覚的に受け入れられない。今の若者は、家族で連れ立って歩いている。こんなことを言っては何だが、それ以外の人間関係はないのかと思ってしまう。外に向かって交際を広げていく時期に、夫婦や家族で繭に籠っていくのは、私は受け入れがたい。家族とは老後になればいくらだって一緒にいられるんだから」

光昭さんに「外に恋人がいたことはありましたか?」と聞くと、言葉を濁した。大手保険会社の出世コースの先頭を走り、自由になるお金もあり、容姿に優れた光昭さんに、恋人がいただろうことは容易に想像がつく。

「当たり前のことだけれど、妻にはバレなかったと思う。家族には何一つとして不自由をさせていない。欲しいものは買い、行きたいところに行かせてやった。なにひとつ文句は出ていない」

【次ページに続きます】

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