新着記事

年金生活で1カ月に自由に使えるお金は夫婦で18万958円!|60代からのライフプランの作り方

知っておきたい60代からのライフプラン自分らしく心豊かな人生を歩んでいくために、お金の面から…

だるい、眠い、プチ不調|あなたの「疲れ」を取る方法

文/中村康宏前回の記事『「疲労物質=乳酸」はもう古い|「疲れ」はどこから来るのか』で疲労…

タワマンの低層階は負け組扱い?マンション格差ランキング

同じマンションでも、広さや間取り、階数やバルコニーの向きなどによって価格は異なる。それゆえ、…

醍醐寺の寺宝、選りすぐりの100件【京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-】

取材・文/藤田麻希豊臣秀吉が醍醐の花見を楽しんだことで有名な醍醐寺。京都駅から東南にある笠取…

8日目《名寄から留萌へ・その2》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

昨年夏『サライ.jp』に連載され好評を博した《実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅》。九州・…

8日目《名寄から留萌へ・その1》【実録・JR北海道全線踏破10日間の旅】

昨年夏『サライ.jp』に連載され好評を博した《実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅》。九州・…

我が闘病|角盈男「前立腺がんを克服して、今思うこと」

取材・文/田中周治58歳の時に前立腺がんが発覚した角盈男さんに、闘病生活を振り返って…

【娘のきもち】夫の借金とギャンブル依存に悩んでいたとき、寄り添ってくれたのは父だった~その2~

取材・文/ふじのあやこ家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親…

【娘のきもち】「人がする仕事じゃない」初めての就職先に向けられた父親の言葉。その偏った考え方が大嫌いだった~その1~

取材・文/ふじのあやこ近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過…

「龍馬のサブ」ではなかった中岡慎太郎【にっぽん歴史夜話 9】

文/砂原浩太朗(小説家)中岡慎太郎(1838~67)の名は知っていても、たいていの人…

サライ最新号

ピックアップ記事

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

全国の美味がお取り寄せいただけます

逸品

木目込みの鈴が目出度い「桐のパンケース」【メイドインニッポン紀行】

取材・文/編集部

いくら旨いと評判のパンでも、時間とともに劣化していく。放っておけば風味は落ちるし、高温多湿な時期ならカビも生える。かといって冷蔵庫に入れればすぐに乾燥して固くなる。パンの保存は、なかなかどうして難しい問題だ。

そこでパン愛好家に薦めたいのが、桐製のパン保存ケース。桐という材にすぐれた調湿効果や防虫・防カビ効果があることは、古来箪笥や米びつに桐が使われてきたことからもあきらかだ。そんな桐の箱に収めておけば、パンは良い状態で美味しく保存できる。

ここに、伝統的な鈴のモチーフが光る桐のパンケースがある。東京・浅草にある老舗の桐工芸メーカー「箱長」が手がけたものだ。

 

明治7年(1874)の創業以来、ひたすら桐箱と桐細工づくりを手がけてきた同社の歴史は、まさに桐ひとすじ。現社長の宮田健司さんは「曾祖父の宮田長次郎という人が桐箱を作り始めてから、ちょうど私で4代目になります。初代が”箱屋の長次郎”だったんで、そのまま屋号も”箱長”になりました」と語る。社員数12人の小さな会社だが、社長含め全員が桐細工職人という、高い技能をもった工藝集団だ。

宮田健司さん

そんな箱長の桐箱を特徴づけるのが、伝統の「木目込み」技法により施された美しい縁起物の意匠である。「他所と同じようなモノを作っていたんじゃ面白くないから、なにかウチならではの特徴をということで、100年前くらいに木目込みの図柄を付け始めたと聞いています」(宮田さん)

浅草にある箱長のお店の店頭にも大きな鈴が。鈴は箱長のシンボルマークといっても過言ではない。

そもそも木目込みとは、木地に切った溝に高級な着物の端切れを差し込んで纏わせていくという装飾技法だ。江戸伝来の木目込み人形にも使われている技術だが、これを平面の桐材に施すには工夫が要る。

「人形の場合は溝を切って生地を差し込んでいくだけですが、ウチでは生地を石州和紙で裏打ちして、面に対して全体的に糊づけしているんです。こんな方法とっているのはウチだけじゃないでしょうか」

実際、桐箱に精巧な木目込みを施せるのは、日本中でここ箱長だけだ。

彫刻刀で溝を彫り込む。

掘った溝に端切れを丁寧に埋め込んでいく。

箱長の倉庫にはこれまで集められてきた数々の端切れがストックされている。

もう一つ、箱長の桐細工の特色に「時代仕上げ」がある。これは桐材を焼いて古色を付ける表面加工で、他の桐細工の工房でもやっているところはあるが、箱長の時代仕上げは、とりわけ色味が濃い。そのおかげで、木目込みの装飾柄もいっそう際立つのだ。

時代仕上げで古色を帯びた桐材。

桐材の長所について宮田さんは「まずなにより軽いこと、そして調湿機能にすぐれ、大切なものの保存に適していること。そして万一の火事でも燃えにくいという利点もあります」と語る。逆に乾燥すると割れやすくなるので、日本のような四季のある気候にこそ合う天然素材なのだ。

宮田さんは、さらに桐について意外なことを教えてくれた。

「桐は漢字で”木と同じ”と書くでしょう、これはつまり”桐は木ではない”ということなんです」

実は桐というのはどちらかというと茎に近く、中心に管が通っている中空構造なのだそうだ。そのため桐からは幅の細い板材しかとれない。それを並べて接合し、一枚の大きな板に加工するのも、桐細工の重要な工程だ。

「板に割っただけの桐材は表面もザラザラしています。ウチではまず小口(縁の部分)の角度を調え、必要な面積にあわせて板材を並べ、そして貼り付けて一枚にするというところから作業を始めます」

そうして作った桐の板材を必要にあわせて切り、削り、組み合わせて、寸分の狂いなく箱を形作るのだ。そしてこの全工程を、ひとりの職人が担当する。

桐材の断面をカットして調える。

成形した材を組み合わせて箱を形成する。

さまざまな工作道具が並ぶ作業台。

「作業場が狭いんで、ひとりでやらないと、ぶつかって危ないんだよ」と宮田さんは笑うが、まさに桐箱はそのひとつひとつが、ひとりの職人の熟練の技の数々が結晶した作品といえるのだ。

今から3年ほど前に宮田さんが考案して作った桐のパンケースは、同じ浅草にある人気ベーカリー『ペリカン』が食パンの専用ケースとして採用し発売したことで一躍脚光を浴びた。

「ウチで作ったのを持ち込んで提案したところ、気に入ってもらえたので、お店の食パンのサイズに合わせた特別仕様のケースを作って納めました。浅草で生まれ育った自分にとって『ペリカン』のパンは子供の頃から馴染みのパンでしたので、こういう形で関われてうれしいです」

もうひとつのご自慢は、時代仕上げが渋い小さな箪笥。下段の引き出しを引き出すと、底には大切なものを隠しておける「からくり箱」が現れる。桐箪笥にはよく見られる作りが、この小さな箪笥にもきちんと再現されているところに、職人の心意気が滲み出ている。

下の引き出しを引き出すと……。

底に隠しスペースが現れる。

こちらの木目込みモチーフは「ひょうたん」であるが、使われている生地をよく見るといくつもの独楽が描かれているのがわかるだろう。「これがホントの、ひょうたんから独楽です」といって豪快に笑う宮田さん。職人の遊び心を感じずにいられない。

取材・文/編集部

今回取材した浅草・箱長の「桐のパンケース」と「桐のからくり小引き出し」は小学館の通販メディア「大人の逸品」で購入できます。リンク>> http://www.pal-shop.jp/

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. ウォッシュコットンハンチング|風合いの変化が楽しめる職人手作りの…
  2. 帆布ミニ縦型ショルダーバッグ|街歩きにいい小振りなショルダーバッ…
  3. ペントミノパズル|シンプルで奥深い立体組み合わせパズル
  4. 本柿渋染頭陀袋|金具も化学染料も排した柿渋染めの“和サコッシュ”…
  5. 綿紬作務衣|ざっくりとした着心地の素朴なベーシック作務衣
PAGE TOP