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あの陸王を地で行く“足袋型歩行靴“ラフィート【メイドインニッポン紀行】

取材・文/編集部

昨年話題となったテレビドラマ『陸王』(原作:池井戸潤)は、老舗の足袋メーカーが社運を賭けてランニング用シューズを開発するという物語であったが、それを地で行くシューズメーカーが、岡山県倉敷市にある。その名を岡本製甲という。爪先が割れた足袋型のスポーツシューズ製造を手がける、唯一無二のメーカーだ。

蔵のまちとして知られ、多くの観光客が訪れる風光明媚な倉敷の市街から車で20分ほど、茶屋町という場所に本社工場を構える同社は、社員数40人と小規模ながら、靴の企画から裁断、縫製、仕上げまでの全工程をまかなえる、国内屈指の職人集団である。スポーツシューズ、とくにゴルフや野球のシューズ製造を得意とし、国内外の有名プロ野球選手たちのカスタムスパイクも数多く手がけている。

昔ながらの街並みがつづく倉敷の夕景。

そんな同社が足袋型のシューズを手がけることになるきっかけは、創業者から3代目となる岡本陽一さん(現取締役)が、ある高校の野球部コーチから受けた依頼だった。「生徒の足を鍛えるために、素足に近い地下足袋で練習させているのだが、どうも耐久性が弱い。君のところでいい靴を作れないか?」大学時代の先輩でもあったコーチからの頼みに「やらせていただきます!」と応えた岡本さんだったが、戸惑いは尽きなかった。足袋型のシューズ、いったいどう作ったらいいんだ? ニーズはあるのだろうか?

そもそも、靴の整形に必要な「ラスト」と呼ばれる木型すら前例がない。足袋型シューズの開発は、木型の検討から始まった。

大きな課題は、爪先の切り込みの長さだ。長過ぎれば指の股にあたって痛くなるし、短かすぎればせっかく足袋型にする効果が薄れてしまう。岡本さんは、岡山大学に共同研究を申し入れ、日本人の平均的な足の形を研究した。そこから、ほとんどの日本人の足に最適な切り込みの長さを割り出すことができた。

特徴的な爪先の形状は、製造においても難関となった。一般的な靴の爪先であれば機械化も可能だが、特殊な先割れ形状は、すべて一点ずつ職人が手縫いで仕上げる他はない。指をくるむように立体的に縫い上げていく作業は、熟練の縫製技術を要するものとなった。しかもどの靴も同じように縫製しなければならないとなれば、なおさらである。

こうして出来た足袋型トレーニングシューズ「バルタンX」と、さらに日常的に履けるシューズとして進化させた「ラフィート」は、形状としてユニークなだけでなく、靴としての機能に非常に優れたものとなった。

たとえば指先が開くことで、足の裏全体で地面をしっかり掴むように立てるようになる。このため踏ん張る力も強められ、立つのも歩くのも安定して行える。また一般的な靴と比べて、指先で蹴り出す力が高められることもわかった。これにより大きな歩幅でしっかりと歩くことができる。安定した歩行に指先が重要な役割を果たすことは、試しに爪先を上げて歩いてみれば、誰でも実感できることだ。

そして爪先が別れた足袋型の構造は、外反母趾に悩む人にとっても福音となる。母趾を独立して動かせるので、母趾の外反を抑制し、痛みを和らげ進行を防ぐことができるのだ。これなら軽度の外反母趾があっても、快適にウォーキングを楽しめる。

そんな「ラフィート」は、高齢者のウォーキングシューズとしても最適という。転倒のリスクを軽減させつつ長時間の安定した歩行が可能なため、継続的に使用することで結果的に足の筋力を増強させ、運動能力の向上にも結び付けらるからだ。愛用者からは「つまづきによる不安が無くなった」「杖が要らなくなった」「足腰が強くなったように感じる」「歩けなかった状態から10kmも歩けるようになった」という喜びの声も届いているという。

人間の素足に近い自然な歩行を可能にする、唯一無二の足袋型ウォーキングシューズ「ラフィート」。小さなメーカーの創意工夫と技の結晶たるこの靴は、一度履けばその歩き心地に感動を覚えること間違いない。それはリピーターの多さが雄弁に示している。

取材・文/編集部

今回取材した岡本製甲の足袋型ウォーキングシューズ「ラフィート」は小学館の通販メディア「大人の逸品」で購入できます。リンク>> http://www.pal-shop.jp/

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