歴史ある東京フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者に、弱冠29歳のマエストロが就任した。アンドレア・バッティストーニ。イタリア・
2006年、19歳で指揮活動をスタート。以後、ベルリン・
東京フィルとは、2012年2月に東京二期会主催『ナブッコ』で初共演して以来、定期的に共演を重ね、関係を深めてきた。繊細な音楽性、
若きイタリアの俊才と伝統の東京フィルが創る新たな音楽の世界に、ますます期待が高まる。
そんな東京フィルとバッティストーニの熱演が聴ける10月の定期公演会では、マスカーニによる知られざるジャポニズム・オペラの佳作、歌劇『イリス(あやめ)』(演奏会形式・字幕付き)が演奏される。舞台演出も、バッティストーニ自身によるものだ。
『イリス(あやめ)』は、19世紀末のヨーロッパで日本趣味が流行した時代に、『カヴァレリア・ルスティカーナ』で知られる作曲家マスカーニが北斎の浮世絵や三味線、吉原、富士山など、日本の素材にインスパイアされて作ったという異色のイタリア・オペラである。この作品について、バッティストーニは次のように語っている。
「イタリア・オペラで初めて“日本”を舞台にした作品が『イリス』です。この作品で重要なのは、想像の中の夢の国である日本を背景に醸し出される、異国趣味やオリエンタリズムです。同じ日本を舞台にしている『蝶々夫人』より、東洋のおとぎ話である『トゥーランドット』に近い作品といえます。音楽はワーグナーやフランス音楽の影響が見えるものの、
若きマエストロが、東京フィルのオーケストラとともにどんな音楽を生み出すのか、ぜひ聴いておきたいものだ。
【東京フィルハーモニー交響楽団 2016年10月定期演奏会】
■第886回オーチャード定期演奏会
マスカーニ/歌劇『イリス(あやめ)』(演奏会形式・字幕付)
日時:2016年10月16日(日) 15:00 開演(14:30 開場)
会場:Bunkamura オーチャードホール
http://www.tpo.or.jp/concert/
■第887回サントリー定期シリーズ
マスカーニ/歌劇『イリス(あやめ)』(演奏会形式・字幕付)
日時:2016年10月20日(木) 19:00 開演(18:30 開場)
会場:サントリーホール ※チケット完売
http://www.tpo.or.jp/concert/
■第105回東京オペラシティ定期シリーズ
ヴェルディ/歌劇『ルイザ・ミラー』序曲
ヴェルディ/歌劇『マクベス』より舞曲
ロッシーニ/歌劇『ウィリアム・テル』序曲
ベートーヴェン/交響曲第5番『運命』
日時:2016年10月19日(水) 19:00 開演(18:30 開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール
http://www.tpo.or.jp/concert/
文/編集部