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「セイコーミュージアム」(東京都墨田区)に展示されているセイコーの初代鉄道時計。文字盤の数字が見やすく、実用本位なデザインが特徴。

「セイコーミュージアム」(東京都墨田区)に展示されているセイコーの初代鉄道時計。文字盤の数字が見やすく、実用本位なデザインが特徴。

東京都墨田区、白鬚橋の近くに、時計ファン垂涎の博物館「セイコーミュージアム」があります。和時計をはじめ国内外の貴重な時計を所蔵するほか、「グランドセイコー」などの現代の名機の技術を紹介する展示が見所です。

セイコーの歴史は、時計の進化の歴史そのものと言っても過言ではありません。展示品を見ながら、時計の歴史を紹介していきましょう。

日本の鉄道は、世界トップレベルの正確な運行が行なわれています。例えば、日本の大動脈である東海道新幹線は、年間約12万本を運行しながら、1年間の平均遅れはおよそ1分以下。海外を旅行していると、鉄道の遅れは日常茶飯事ですが、日本ではわずか1分の遅延でも、「列車が遅れ、ご迷惑をおかけします」とアナウンスが入ります。鉄道が時刻表通りに正確に運行されて当たり前、という感覚は、多くの日本人に共通しているでしょう。

日本の鉄道はなぜ、これほど正確な運行にこだわるのでしょうか。日本は極めて正確な時間を刻む、世界初のクオーツ腕時計を発売した国です。鉄道が正確なのは、高精度を誇る時計の技術と、密接に関連しているのかもしれません。事実、時計の進化の歴史は、鉄道とともにあったのです。

1891年、オハイオ州キプトンで、鉄道員が手にした時計が4分遅れていたために、死者11名を出す列車の正面衝突事故が起きました。これを機に正確な時計を求める声が高まり、2年後に鉄道時計の規格が定められたのです。例えば、白い文字盤に黒のアラビア数字で数字を表記する、精度は72時間で約6秒、1週間以内で約30秒以内にするなどの厳格なものでした。

当初はアメリカのハミルトンが鉄道時計をリードし、日本でも鉄道の黎明期には同社の時計が使用されていましたが、昭和4年(1929)にセイコーの製品が採用され、現在に至っています。

究極のシンプルウォッチといえる完成度を誇るセイコーの鉄道時計。現在の最新鋭の鉄道網においても健在で、新幹線の運転士にも愛用者が多いそうです。

【セイコーミュージアム】
■住所:東京都墨田区東向島3-9-7
■電話:03-3610-6248
■開館時間:10:00~16:00
■休館日:月曜、祝日、年末年始
■交通:東武スカイツリーラインから徒歩約8分。東京メトロ浅草駅からタクシー約10分。
■公式サイト:http://museum.seiko.co.jp/

取材/文:山内貴範

※「メイド・イン・ニッポン」を特集した『サライ』9月号が発売中です。美術史家の山下裕二さん(明治学院大学教授)が、岩手県雫石町にあるグランドセイコーの組み立て工場を訪ねました。

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