新着記事

【夕刊サライ/横山剣】「フォード・コルチナ・ロータスMk1」“クルマは見た目じゃ分からない?!”(横山剣のクルマコラム 第7回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。水…

プリマロフトの軽量ケット|通気性に優れ蒸れにくい夏の快眠肌掛け

寝苦しい熱帯夜にエアコンをつけて眠ると、薄い肌掛け1枚では寒く感じることがある。そんなときは…

「ローマの休日」が田んぼに! 奥深き「田んぼアート」の世界

取材・文/鈴木拓也白や赤の葉の稲や、赤褐色や紫の穂の稲などを組み合わせて水田に植え、高い所か…

大人も楽しめる「字のない絵本」92歳にして現役の絵本作家、安野光雅の世界

取材・文/池田充枝国内外に多くのファンをもつ安野光雅(あんの・み…

【夕刊サライ/川合俊一】川合流「出来高」チェックの投資術に必要なのは根気と早起き(川合俊一の暮らし・家計コラム 第11回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。火…

リネン使いの中折れハット|亜麻の感触が心地よいざっくり編みの涼しい帽子

帽子は、いくつあっても邪魔にならない紳士の必須アイテムだ。服装や季節に合わせ、その日に合った…

シニアの白髪染め|やるorやめる「65歳」が分かれ目?

年齢を重ねると共に、増える白髪。実年齢より老けて見える、苦労しているように見える、などの理由…

日本人なら知っていたい「箸」の常識【食いしん坊の作法 第8回】

文/山本益博日本人が一生のうちで最も使う道具と言えば、「箸」ではないでしょうか?とこ…

長谷寺に伝わる“お経の音楽”「声明」が日本橋三越で聴ける特別なイベント

声明(しょうみょう)とは、お経に節をつけて唱える荘厳な仏教音楽の一種である。中でも、真言宗豊…

【夕刊サライ/神取忍】ケガの絶えないプロレス稼業で、神取は検査マニアになった!?(神取忍の健康・スポーツコラム 第11回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月…

サライ最新号

ピックアップ記事

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

趣味・教養

夏目漱石が英国渡航に持参した日本の食品とは【漱石と明治人のことば281】

sousekiKotobaBanner2

文/矢島裕紀彦
今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「一 梅ボシ、福神漬」
--夏目漱石

宮城県仙台市の東北大学附属図書館漱石文庫に、夏目漱石の英国留学時の2冊の日記が残されている。いわゆる「渡航日記」と「滞英日記」。取材のために東北大を訪れ、その現物を見せてもらったことがある。どちらも、留学生・漱石の足跡を知る上での貴重な原資料だ。

茶色の革表紙の渡航日記の冒頭には、出発前の身支度について記したメモ書きがあり、興味を引かれた。見ていくと、衣類や手拭い、傘、薬、名刺、剃刀(髪ソリ)などの必需品が列挙されたメモの中ほどに、「一 梅ボシ、福神漬」の一行があった。

不馴れな海外生活に際して、誰もが気にかける「味覚」の問題を、のちの文豪もはっきりと意識していたことがわかる。学生時代は、親友の正岡子規と本郷界隈の西洋料理屋に颯爽と繰り出した漱石も、2年間の西洋留学となると、つい梅干しを持参したくなったのだろう。

英国滞在1年半を経た明治35年(1902)4月17日には、漱石は、鏡子夫人あての書簡でこうも訴えている。

「日本に帰りての第一の楽みは、蕎麦を食い日本米を食い、日本服をきて日のあたる縁側に寝転んで庭でも見る、是が願に候」

母国での素朴な日常が、郷愁とともに輝きを帯び、胸にこみあげていたのである。

一方、緑色のクロス貼表紙の滞英日記、明治34年(1901)1月4日の項には、こんな一節も読めた。

「倫敦ノ町ヲ散歩シテ試ミニ痰ヲ吐キテ見ヨ。真黒ナル塊リノ出ルニ驚クベシ。何百万ノ市民ハ此煤烟ト此塵埃ヲ吸収シテ毎日彼等ノ肺蔵ヲ染メツツアルナリ」

産業革命が副作用としてもたらした近代都市ロンドンの大気汚染は、なかなか深刻なものだった。それが、この記述からも窺える。

ここでも漱石は、故国で当り前のように享受していた清々しい空気のありがたさを、改めて実感せざるを得なかっただろう。

漱石は西洋体験を経て、東洋的美質の再発見をしていた。そんな言い方もできそうだ。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 「秋立つや一巻の書の読み残し」(夏目漱石)【漱石と明治人のことば…
  2. 「年の暮れには追憶を、年の初めには希望を」(幸田露伴)【漱石と明…
  3. 「見果てねど はた見あきねど我が夢は 四十余年の夢多き日々」(滝…
  4. 「子供のために一流の文学者が進んで執筆しなければ嘘だ」(鈴木三重…
  5. 最晩年の谷崎潤一郎が愛する風景を詠んだ歌【漱石と明治人のことば3…
PAGE TOP