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堀文子《冬野の詩》1988年

取材・文/池田充枝

日本画家の堀文子さんは1918年7月2日生まれ。白寿(99歳)を迎えた今も、新作を世に送り続けています。

女性の自立がまだ困難であった時代に画家を志し、女子美術専門学校(現・女子美術大学)に入学、日本画を専攻しました。在学中から新しい時代を担う画家として注目を浴びていた堀画伯は、従来の日本画にはない独自の表現方法で精力的に作品を送り続ける一方で、同じところに留まることをよしとしませんでした。

3年にわたり欧米やメキシコを訪ね、帰国してからは神奈川県大磯へ転居し、日本の四季や風景を澄んだ色調で描くようになりました。その後も軽井沢やイタリアのアレッツォにアトリエを構え、そのたびに画風も進化を続けました。

抽象や具象の枠を超えることはもとより、斬新な画面構成によるシリーズなど、一貫したテーマに「生命~いのち~」をかかげて、今なお挑戦を続けています。

*  *  *

そんな堀文子画伯の白寿を記念する大規模な展覧会が、熊本県立美術館で開かれています。(~11月12日まで)

本展は九州で初めて開かれる堀文子の展覧会です。代表作の《アフガンの王女》、イタリア在住中の作《トスカーナの田園》、80歳を越えてヒマラヤの高地に取材した《幻の花 ブルーポピー》など約100点が紹介されます。

堀文子《アフガンの王女》2003年

本展の見どころを、主催のテレビ熊本の担当者にうかがいました。

「今年白寿を迎えられた堀文子画伯の、80年にわたる創作の軌跡を一堂に紹介する本展が、九州では初めて熊本で開催できることは、主催者として誠に喜びに堪えません。

5歳の頃、関東大震災を経験され、幼心にも「生きる」という感覚を体験した堀画伯は、90年後に、東日本大震災で未曽有の被害に見舞われた被災地の復興のシンボルにとの願いを込めて、作品「ユートピア」の壁画を福島空港に創られています。

その堀文子画伯の展覧会が、去年、震度7の大地震に二度も見舞われた熊本の地で開催されることは、復興へと歩み出している熊本県民にとって、励ましのエールを戴いたような、とても不思議な縁を感じています。

堀画伯はいつの時代も、その時その時の心のままに、何ものにも捉われず、縛られず、自由に堀文子の世界を創り上げられてきました。《ユートピア》をはじめ100余点の展示作品からも、そのパッションと“生きる”ことへの深い愛情が伝わってくると思います。

ぜひ、熊本そして九州の皆様に、堀文子の世界に足を運んでいただければ幸いです」

堀文子《幻の花 ブルーポピー》2001年

『サライ』本誌で、『命といふもの』を長年連載され、誌上から感動を分け与え続けてくださっている堀文子画伯。その作品の数々を、直に目にできる絶好の機会です。お見逃しなく!

【開催概要】
白寿記念・九州初開催 堀文子展~生命(いのち)を描く~』
■会期:2017年9月28日(木)~11月12日(日)
■会場:熊本県立美術館[本館]
■住所:熊本市中央区二の丸2番
■電話番号:096・352・2111
http://www.museum.pref.kumamoto.jp
■開館時間:9時30分から17時15分まで(入館は16時45分まで)
■休館日:月曜日(ただし10月30日は「障がいのある方々の鑑賞デー」として開館)
■料金:大学生以上1200(1000)円 小中高生700(500)円 ( )内は20名以上の団体料金、障がい者手帳持参者は無料
■アクセス:JR熊本駅より熊本城周遊バスで「熊本城二の丸駐車場」下車徒歩約3分

神奈川県立近代美術館でも開催予定です。(2017年11月18日~2018年3月25日)

取材・文/池田充枝

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