■秋の一夜、天才仏師の偉業をゆったり鑑賞

史上最も著名な仏師といわれる運慶。その傑作が多数集結する展覧会が、東京国立博物館で間もなく開かれます。『サライ』では、この展覧会の閉館後にゆったりと観賞できる特別内覧会を開催します。貴重な機会をお見逃しなく。

運慶 無著菩薩立像(右) 世親菩薩立像(左)国宝、木造、彩色、玉眼、像高193.0cm(無著)、190.9cm(世親)、建暦2年(1212)頃。古代インドの学僧・無著、世親の高邁な精神性が見事に表現されている。運慶60歳頃の世界的傑作。興福寺蔵  写真/六田知弘

運慶が活躍した平安時代から鎌倉時代にかけては、京を中心とした貴族による支配から、東国・鎌倉に幕府を置く武士の支配へと社会が大きく変革した、まさに動乱の時代でした。そんな時代の変革期にあって運慶は、貴族のみならず新興勢力である東国の武士たちから造像の依頼を受け、仏像の制作をしたことが知られています。

現在、願成就院(静岡)に伝わる阿弥陀如来坐像や毘沙門天立像、浄楽寺(神奈川)に伝わる不動明王立像や毘沙門天立像などは、その中で生み出された初期の傑作として知られています。

やがて運慶は、平家の焼き討ちで灰燼に帰した奈良の興福寺や東大寺の復興に尽力。それまでの仏像には見られなかった迫真性に満ちた、新たなる表現の仏像を生み出すことになります。

それが、興福寺北円堂の弥勒仏坐像に寄り添う無著菩薩立像と世親菩薩立像に代表される、リアルな造形の仏像です。

■貸し切りの館内で迫真の造形美をじっくり体感

この度の展覧会では、こうした運慶自身の初期から晩年までの作品を通覧できるほか、父・康慶、息子・湛慶らの作品を含めて、独創的な造形の誕生とその継承という視点から、運慶作品の全体像を俯瞰することができます。

閉館後の館内を貸し切って、天才仏師の作品をゆったり鑑賞できる特別な機会です。ふるってご応募ください。

※応募方法については、発売中の『サライ』本誌10月号の9ページをご参照ください。応募には本誌についている応募券が必要です。

運慶作 八大童子立像のうち制多伽童子 国宝、ヒノキ、割矧造り、彩色、玉眼、像高103.0㎝、建久8年(1197)。経典では性悪とされる制多伽童子も、運慶の手にかかれば理知的で愛らしい姿に。金剛峯寺蔵 写真/高野山霊宝館

【展覧会情報】
興福寺中金堂再建記念特別展 運慶』
■会期:9月26日(火)~11月26日(日)
■会場:東京国立博物館 平成館
(東京都台東区上野公園13-9、電話 03-5777-8600[ハローダイヤル])

開館時間:9時30分~17時(金曜・土曜および11月2日は21時まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(ただし、10月9日[月曜・祝日]は開館)
観覧料:一般1600円
展覧会公式サイト:http://unkei2017.jp/

※この記事は『サライ』本誌2017年10月号より転載しました。

 

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