謎に包まれた偉大な鎌倉仏師の全貌に迫る!「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」展

鎌倉彫刻様式の完成に重要な役割を果たした人物として、運慶と並び称されてきた仏師・快慶。運慶が出自や工房など、その人物像に不明な点が多い一方で、快慶には確証ある遺品が際立って多く、鎌倉時代初頭の造像界の動向を具体的に知るうえで不可欠な存在です。

そんな、わが国の仏教美術史に偉大な足跡を残した快慶の作品が一堂に会す展覧会が、奈良国立博物館で開かれています。

快慶「僧形八幡神坐像」〔国宝 奈良・東大寺蔵〕MuseumBVB,Rotterdam,Netherlands

快慶が、運慶の父である康慶の弟子のなかでも、運慶に肩を並べて活躍する場を得たのは、後白河院主導のもと重源(ちょうげん)により進められた東大寺再興造像でした。その際に快慶が、単に仏師として重源にしたがったのではなく、重源に帰依して熱心な阿弥陀信仰者として造仏に臨んでいたことも見逃せません。

快慶が生涯をかけて追及した実在感と格調の高さを兼ね備えた阿弥陀如来立像の姿は、来迎形阿弥陀の一典型として長く受け継がれ、こんにち快慶の阿弥陀仏号にちなんで「安阿弥様(あんなみよう)」と呼ばれています。

国宝の浄土寺阿弥陀三尊像(兵庫県小野市)、東大寺僧形八幡神坐像、安倍文殊院文殊五尊像(奈良県桜井市)、東大寺南大門金剛力士像(運慶らとの共作)はじめ、多数の作品を遺していますが、その多くが国宝・重要無形文化財に指定されています。

本展では、それら快慶の代表的な作品を集めてその足跡を辿るとともに、快慶作品の成立と密接に関わる絵画や高僧たちとの交渉を伝える史料を併せて展観し、いまだ多くの謎に包まれた快慶の実像に迫り、快慶芸術の本質を探ります。

快慶「四天王立像のうちの広目天」〔重要文化財 和歌山・金剛峯寺蔵〕

本展の見どころを、奈良国立博物館学芸部の主任研究員(彫刻担当)の山口隆介さんにうかがいました。

「日本を代表する仏師のひとりである快慶を単独で取り上げた、初の大規模展覧会です。

いま知られている快慶作品の約8割が一堂に会する空前絶後の内容で、アメリカの美術館に所蔵される3件4点の快慶作品もこの機会に里帰りが実現します。

未出陳作品も含めた快慶に関するさまざまなデータを収録した公式図録は、この一冊で快慶のすべてがわかる内容となっており必見です」

国宝・重文作品がずらりと並ぶ圧巻の展覧会です。ぜひお見逃しなく。

【特別展 快慶 日本人を魅了した仏のかたち】
■会期:2017年4月8日(土)~6月4日(日)
■開場:奈良国立博物館
■住所:奈良市登大路町50(奈良公園内)
■電話番号:050・5542・8600(ハローダイヤル)
■ウェブサイト:http://www.narahaku.go.jp/
■開館時間:9時30分から17時まで、金・土曜日は19時まで(入館は閉館30分前まで)※臨時に定める場合もあり
■休館日:月曜日(ただし5月1日は開館)
■料金:一般1500(1300)円 大高生1000(800)円 中小生500(300)円 ( )内は20名以上の団体料金、障がい者手帳所持者と介護者1名は無料
■アクセス:近鉄奈良駅より徒歩約15分、JR奈良駅または近鉄奈良駅より市内循環バス(外回り)で「氷室神社・国立博物館」下車

取材・文/池田充枝

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