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夏目漱石が考えた「国家衰亡の兆候」とは【漱石と明治人のことば257】

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今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「英人ハ天下一ノ強国ト思ヘリ、仏人モ天下一ノ強国ト思ヘリ、独乙人モシカ思へリ。彼等ハ過去ニ歴史アルコトヲ忘レツツアルナリ、羅馬ハ亡ビタリ英国仏国独乙ハ亡ビルノ期ナキカ」
--夏目漱石

夏目漱石が英国留学中の、明治34年(1901)3月21日の日記に綴った一節である。

隆盛があれば衰退もある。奢れる者は久しからず。『平家物語』ではないが、歴史の教訓としての盛者必衰の理(ことわり)を知らねばならない。あのローマ帝国でさえ滅んだではないか。漱石はそんなことを思っていたのだろう。

もちろん、そこには自戒の念もともなう。漱石はつづけて、こう書いている。

「日本ハ過去ニ於テ比較的ニ満足ナル歴史ヲ有シタリ、比較的ニ満足ナル現在ヲ有シツツアリ、未来ハ如何アルベキカ。(略)真面目ニ考ヘヨ誠実ニ語レ摯実ニ行ヘ。汝ノ現今ニ播ク種ハヤガテ汝ノ収ムベキ未来トナツテ現ハルベシ」

振り返れば、漱石が第1回文部省給費留学生に選ばれ、英国行きが決まったのは明治33年(1900)5月。熊本五高で教鞭をとっているときだった。文部省からの辞令には「英語研究」のためとあった。これに疑問を感じた漱石は、わざわざ文部省の担当官を訪ね、「英文学研究」ではいけないのかと問うた。文部省の答えは、さほど厳密なものでなく、要は帰国後の学校教育に役立ててもらえればいい、というようなものだった。

留学後の漱石は、化学者の池田菊苗との出会いもあってさらに思いを深め、そもそも文学とはなんなのか、人類と世界はどう関係するのか、そしてこれからの自分は、日本人は、どのように生きていけばいいのか、といった根源的な問題にまで思索を掘りさげていく。もともとが広い視野と探究心に富んだ漱石が、世界情勢に批評的な目を向けていくのは、当然のことであっただろう。

このあと、ヨーロッパは、ふたつの大きな戦争もあり、それぞれに浮沈を味わう。

漱石没後、昭和に入ってからの大日本帝国は暴走し、多くの犠牲者を出して敗戦と焼け野原のどん底に沈む。「真面目に考えよ」「誠実に語れ」「摯実(しじつ)に行え」という漱石の忠告は、軍部を中心とする当時の日本の指導者たちには届かなかったのである。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

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