■ブロンヅィーノと工房 メディチ家の小さな肖像画の連作 1555〜65年頃
(24点の連作のうち、6点が来日。ここでは上より『ロレンツォ・イル・マニフィコの肖像』、『ジュリアーノ・(ディ・ピエロ)デ・メディチの肖像』、『教皇レオ10世の肖像』を掲載)
FOTO:S.S.P.S.A.E e per il Polo Museale della città di Firenze – Gabinetto Fotografico
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ブロンヅィーノは写実性にすぐれた画家で、フィレンツェを長らく支配したメディチ家に寵愛されました。
メディチ家の一族を描いた、この肖像画の連作は、もともとはフィレンツェの政庁舎であるヴェッキオ宮の書斎に掛けられていました(現在は、ウフィツィ美術館「ヴァザーリの回廊」に収蔵)。
各16×12.5cmと、小さい絵です。しかも、どの作品もすでに他の画家やブロンヅィーノ自身によって描かれた肖像画の「写し」です。例えば、一番下の『教皇レオ10世の肖像』の原画の作者は、ルネサンスの巨匠ラファエッロです。
ちょっと“変わり種”の作品ですが、館長は「画家の知性が感じられて、私にはたいへん魅力的です」と絶賛。
小さな画面のなかに「対象の本質をとらえる抽象主義と、見たままに写す自然主義が融合されています」と評します。
いずれも、ウフィツィ美術館の所蔵品です。
今回の展覧会への出品にあたって、多くの作品が新たに修復されました。
表面の汚れやくすみが落とされ、後世の補筆が削除された結果、描かれたばかりかと思えるほど、鮮やかな色彩が目に飛びこんできます。
その感動をぜひ会場であじわってみてください。
(「ウフィツィ美術館展」特設WEBサイト)
http://www.uffizi2014.com/
文/菅谷淳夫
ライター。本誌「サライ美術館」担当。