野生種と初期に改良された品種
ニンファエア・アルバ(Nymphaea alba)

‘フロエベリ’(Nymphaea ‘Froebeli’)

ニンファエア・メキシカーナ(Nymphaea mexicana)

19世紀後半に登場したスイレンの育種家、マルリアックは生涯で100種を超える品種を作出した。城山豊さん(https://serai.jp/hobby/1210116)はマルリアックの登場により、スイレンの品種改良が進んだという。
「マルリアックは1860年よりスイレンの品種改良に取りかかります。それから1910年までの間に数多くの品種を世に出しました」(城山さん、以下同)
マルリアックが品種改良に取りかかる4年前に、スウェーデンでニンファエア・アルバ(学名/上写真1番目)の変種である赤色のスイレン「ルブラ」が発見されている。
「これが、その後の温帯性スイレンに赤色の改良品種が増えていくきっかけになりました。さらに1881年にはメキシコ原産のニンファエア・メキシカーナ(上写真3番目)という黄色いスイレンが紹介され、日本原産のヒツジグサなどと交配し、様々な色と形のスイレンが作られていったのです」
育種家・マルリアックがモネと同時代に作出した品種
‘アトロプルプレア’(Nymphaea ‘Atropurpurea’)

‘マリアセア・ロゼア’(Nymphaea ‘Marliacea Rosea’)

‘スルフレア’(Nymphaea ‘Odorata Sulphurea Grandifloria’)

鮮やかに彩られていく『睡蓮』
白一色だったスイレンが、赤や黄色に彩られていく時代、モネの『睡蓮』には様々な色の花が水面に浮かんでいる。新しい品種の登場と呼応するように、晩年までモネは彩り豊かなスイレンを描き続けたのである。
モネが温室で育てた青いスイレン
ニンファエア・カペンシス・ザンジバリエンシス(Nymphaea capensisvar. zanzibariensis)

写真/北川村「モネの庭」マルモッタン、PIXTA、ラトゥール・マルリアック
※この記事は『サライ』本誌2025年1月号より転載しました。

