英語がある程度聞き取れたり読めたりしても、「こんなとき、英語ではどう言えばいいんだろう?」と思うことはありませんか?
文法のルールや教科書にある表現だけでは、とっさに言葉が出てこないこともありますよね。実際に使う機会がなくても、映画や、最近ではポッドキャストなどを通して、自然な英語に触れられるシーンは増えています。
自分の興味や関心に寄り添いながら、少しずつ親しんでいくことが、自然な英語へのいちばんの近道かもしれません。
さて、今回ご紹介するのは“Keep in touch.”です。

“Keep in touch.”の意味は?
“Keep in touch.” を直訳すると、「触れたままでいる」ですが…、そこから転じて
正解は……
「連絡を取り合う」
という意味になります。
“keep” = 保つ、維持する
“in touch” = 接触している状態、触れ合っている状態
「触れ合った状態を保つ」というイメージから転じて、現代英語では「連絡を取り続ける」そして、少し広く、「つながりを保つ」という意味で使われるようになりました。
例えば、
“Let’s keep in touch.” (これからも連絡を取り合おう)
など、主に別れ際に使われます。
『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)には、「(1)((話)) (また)連絡してね,手紙を書いてね.(2)((話)) ((時に皮肉的)) じゃあまた,さいなら.」と書かれています。

“Keep in touch.” の使い方
“Keep in touch.” は、いくつかの場面で使い分けることができます。
「誰と連絡を取り合うのか」を伝えたいときには、“with” + 人 を使います。
“keep in touch with” + 人 (〜と連絡を取り合う)
“I still keep in touch with my host family in Canada.“
(カナダのホストファミリーとは、今でも連絡を取り合っています。)
“Have you kept in touch with Elena lately?“
(最近、エレーナと連絡取ってる?)
相手がはっきりしている場合は、“with” + 人 を省略しても大丈夫です。
久しぶりに会った友人と別れるとき:
“It was so nice seeing you again. Keep in touch!”
(また会えてうれしかった!これからも連絡しようね。)
転勤や引っ越しで離れる同僚に:
“Let’s keep in touch after you move to Tokyo.”
(東京に引っ越しても、連絡を取り合おうね。)
人とのつながりを感じさせる英語らしい表現ですね。
別れ際に気持ちを伝える英語表現
別れのときに、気持ちを伝える英語表現はいくつもあります。場面や関係の深さによって、言葉の選び方にも少し違いがあります。

カジュアルな表現
“Catch you later!”
直訳すると「あとでつかまえるね」ですが、実際には「また会おう」「また話そうね」という軽やかな言い回しです。友達や親しい同僚との別れ際によく使われます。
“Talk to you soon!”
電話やメッセージのやり取りのあとによく使われ、「近いうちにまた話そうね」という自然な表現です。
“See you around!”
“around”(あたり) には「近くで」「どこかで」という意味があり、次に会う場所や時期は決まっていないけれど、「またどこかで会おうね」という軽やかな気持ちを伝える言葉です。
少しフォーマルで丁寧な別れの表現
“I hope we can stay in touch.”
「これからも連絡を取り合えたらうれしいです」という意味です。少し丁寧な響きがあり、別れの場面やメールの締めくくりなどによく使われます。
“Let’s stay connected.”
「《これからも》つながっていよう」という意味を持ち、SNSなどでも使われる現代的でフレンドリーな表現です。“stay connected” は “stay in touch” よりも少し広い意味を持ち、ネットワークや協力関係など、より幅広い関係性にも使うことができます。
このほかにも、別れの場面を彩る英語表現はたくさんあります。そのときの気持ちや相手との距離に合わせて、自分らしい言葉で伝えてみましょう。
最後に
映画解説者の淀川長治(よどがわ・ながはる/1909–1998)は、30年以上にわたって『日曜洋画劇場』の解説を務め、その最後を飾るあいさつ「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……」で多くの人々に親しまれてきました。
彼がどの程度英語に堪能であったかは定かではないですが、チャップリンと交流があり、来日した映画関係者に英語でインタビューをしたこともあったといいます。洋画のセリフや印象的なフレーズを覚え、会話に生かしていたようです。
彼の「サヨナラ」は、どこかユーモラスであたたかく、夜遅い放送にもかかわらず、その声を聞きたくて眠い目をこすりながら待っていたこともありました。
「サヨナラ」は誰にとっても同じはずの言葉ですが、人によってこんなにも個性的で、心に残るものとなるのは不思議だなと思います。
昭和を代表する映画評論家の真似はできないですが、たとえ少し文法が間違っていても、自分らしい「さよなら」を伝えられるほうが、人の心に届くかもしれないですね。
次回もお楽しみに!
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











