ライターI(以下I):長徳4年(998)10月1日。ナレーションで説明がありましたが、この日、日食と地震があったそうです。
編集者A(以下A):藤原道長(演・柄本佑)の側近というべき藤原行成(演・渡辺大知)の日記『権記』には、「日蝕、午剋。(中略)其の前、地震有り」とシンプルに記載されています。劇中では安倍晴明(演・ユースケ・サンタマリア)らが「天文密奏」ということで天文の異変を天皇に報告したことも説明されました。『権記』10月3日条に、「天文密奏」があったと記されています。実際には晴明の息子の吉昌が行なったとあります。
I:『光る君へ』は、史実に忠実なパートと創作が絶妙なバランスで織り交ぜられていますね。一条天皇(演・塩野瑛久)が「朕のせいなのか」と苦悶の表情を浮かべます。一条天皇の10代前の清和天皇の貞観6年(864)に富士山が大噴火し、その5年後には、2011年の東日本大震災と同規模の大地震、大津波が東日本を襲うなど、多くの天変地異に見舞われました。清和天皇は天変地異の責をとるような形で退位します。『光る君へ』劇中で一条天皇が嘆いていたように天変地異は「帝の徳がない」ことで引き起こされると考える人も多かったようです。
【生贄として娘を差し出す。次ページに続きます】