価値観の異なるまひろと宣孝
I:さて、貧しい子供たちに施しをするまひろ(演・吉高由里子)に対して、宣孝(演・佐々木蔵之介)が冷たい態度をとったのが印象的でした。
A:現代的には冷たいようにも感じますが、当時の貴族の感覚としては、宣孝の態度がスタンダードのような気もします。第26回冒頭で宣孝の財力を見せつけていたので、敢えて指摘しますが、夫である自分の了承を得ずに貧しい子らへ施しをするまひろに対して「?」と感じたのかもしれません。
I:なるほど。私はそこまで気がつきませんでした。むしろ、宣孝が悪びれることもなくまひろからの文をほかの女性に見せていたことを話していたことに衝撃を受けました。
A:すれ違いというか価値観の相違というか、こういうのは1000年経ってもなくならないですね、というシーンになりました。「怒った顔もかわいいぞ」という宣孝は、事態を軽く見ていたようです。
I:火に油を注ぐ展開になりました。「難しい女だ。せっかくほめておるのに」という台詞も価値観の違いを浮き彫りにさせました。その後、清水の市でもっと若い女性と購入したという反物を持ってまひろのもとを訪ねますが、まひろは憎まれ口をきいてしまいます。
A:「多淫は体によくないそうですよ」と言っていましたが、「たいん? 何?」と思った人も多かったのではないでしょうか 。
I:多淫ってなかなかいわないですから活字にならないとわからなかったかもしれません(笑)。ここで宣孝は「そういうかわいげのないところに左大臣様も嫌気がさしたのではないか」と言ってはいけない発言をしてしまいます。
A:まひろが、怒りに任せて、宣孝に灰をぶちまけてしまいました。ずいぶん派手にやったものです。さすがの宣孝も参ったのではないでしょうか。蛇足になりますが、このシーンNGの出せない緊迫した状況下だったのかと思ったりしました(笑)。
【石山寺に現れた男性。次ページに続きます】