越前雲丹と藤原宣孝のプロポーズ
I:ここで、なんと越前まで藤原宣孝がやってきます。まひろは宣孝に越前の生うにをふるまいます。越前のうにはバフンウニで、古くから知られていたようです。平安時代初期に編纂された『延喜式』から、若狭の塩うにが定期的に都の朝廷に送られていたことがわかります。
A:冬の越前の定番である越前ガニではなくて雲丹をもってくるとは、どのような算段なのでしょう(笑)。生うには大好物ですが、当時の人も生でうにを食べたんでしょうか。
I:そして宣孝のプロポーズですよ。「わしには3人の妻と4人の子がおる」といいながら「都に戻ってこい。わしの妻になれ」とまひろに告白をします。私が強く印象に残ったのが、まひろが琵琶を奏でるシーンです。
A:琵琶といえば琵琶法師の「諸行無常」を想起してしまうのですが、まひろはどのような思いで琵琶を奏でていたのでしょうか。
I:まひろの琵琶のシーンですが、実際に吉高由里子さんが演奏しているそうです。書を習って自ら墨書したり、吉高さんの取り組みには本当に本当に感嘆させられます。
A:そう聞くと、あの場面、いっそう心に沁みますね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり