文/川口陽海

ヘルニア・狭窄症にも効果!腰痛・坐骨神経痛を改善する栄養・食材とは?

つらい腰痛や坐骨神経痛を改善する方法をお伝えしている本連載では、主にストレッチなどの運動療法を中心にご紹介してきましたが、今回は少し趣向を変えて、慢性腰痛・坐骨神経痛を改善する栄養や食材についてお話ししたいと思います。

慢性腰痛・坐骨神経痛に効果がある栄養素とは?

腰痛トレーニング研究所では、患者さんに食事について尋ねることがあります。

それは、次のような栄養素が不足すると、腰痛や坐骨神経痛回復の妨げになり、慢性化しやすくなるためです。

≪不足すると慢性痛を招く恐れがある栄養素≫
・タンパク質
・ビタミンB群
・鉄分

これらの栄養素が不足しているようであれば、積極的に摂ることで痛みからの回復が早まります。

栄養が不足するとなぜ慢性痛になりやすいのか?

タンパク質、ビタミンB群、鉄分は、身体(筋肉)や脳にとって、とても大事な働きがあります。

タンパク質は身体(筋肉・細胞)の材料です。そしてビタミンB群はそのタンパク質の合成に関わり、細胞の回復や代謝に必要な栄養素です。

不足すると疲労から回復しづらくなったり、筋肉が減ってしまったり、身体が凝りやすくなったりします。

鉄分は赤血球(ヘモグロビン)の材料で、不足すると貧血を招き、酸素が脳や身体に十分に供給されなくなります。

そのことからやはり身体の回復を妨げ、慢性痛を招くことがあります。

病院で腰痛や坐骨神経痛と診断された場合に処方される薬の中に、『メチコバール』がよくみられますが、『メチコバール』はビタミンB12を補い、貧血や末梢神経痛、しびれなどを改善する薬です。

またタンパク質、ビタミンB群、鉄分などの栄養素は、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなど、脳内の鎮痛ホルモンの原料にもなっています。

これらの栄養素が不足すると、鎮痛ホルモンが十分に分泌されなくなり、脳内にある痛みを抑える機能『疼痛抑制系』が十分に働かなくなります。

すると脳が痛みに弱くなり、痛みに過敏になってしまいます。

そうして慢性痛から回復しづらくなっていくのです。

慢性腰痛と脳の関係については、以下の記事も参考にしてください。

ストレスからおこる腰痛~腰痛とストレスと脳の関係~【川口陽海の腰痛改善教室 第7回・前編】

脳の鎮痛機能を回復させる方法~ストレスからおこる腰痛~【川口陽海の腰痛改善教室 第7回・後編】

タンパク質、ビタミンB群、鉄分をしっかりとれる食材

それは、卵とレバーです。

卵は完全栄養食品とも言われるくらい、人間にとって必要な栄養素がまんべんなく含まれています。

黄身にも白身にも良質なアミノ酸やビタミンB群が多く含まれますので、1日1~2個くらいは食べるようにしたいですね。

レバーは必須アミノ酸をバランスよく含み、「栄養の宝庫」といわれるほどです。

またビタミンの含有量も高く、レバー50gで、成人が1日に必要とするビタミンAやビタミンB2をまかなうことができるといわれています。

レバニラ炒め

レバニラ炒めや焼き鳥のレバーなどで美味しく栄養を摂るのが良いでしょう。

サプリメントを上手に使おう

このように大変栄養価の高い卵やレバーですが、アレルギーで食べられなかったり、カロリーやコレステロールが気になったり、嫌いで食べられなかったりということもあるでしょう。

そのような場合は、サプリメントなどもおすすめです。

プロテインやアミノ酸、マルチビタミンなどのサプリメントをうまく使って効率よく栄養を補いましょう。

鉄分をサプリメントで取る場合は、『ヘム鉄』というサプリメントにしましょう。

鉄分のサプリメントには、動物由来のものと植物由来のものがあり、動物由来のものを『ヘム鉄』といいます。

『ヘム鉄』の方が、植物由来の鉄分より吸収率が高いと言われています。

とくに女性の方や『貧血』と診断を受けている方、今は大丈夫だけれど過去に『貧血』の診断を受けたことがある方、などは、『ヘム鉄』のサプリメントでしっかり鉄分を補うことを強くおすすめしています。

最もおすすめの食材は生姜!

生姜にはタンパク質やビタミンなどの栄養素はそれほど多く含まれていません。

しかしそれを補ってあまりあるものすごい効能があります。

それは消炎作用と鎮痛作用です。

生姜の辛味成分としてジンゲロールとショウガオールが含まれています。

ジンゲロールは、炎症に直接効いて痛みを抑えます。(消炎作用)

ショウガオールは、血行を良くし体を温めて痛みを抑えます。(鎮痛作用)

これが慢性の腰痛や坐骨神経痛にとても効果があるのです。

生姜は医療用漢方薬の約70%に含まれているくらいで、消炎鎮痛作用の他にも殺菌効果や健胃強心、免疫力向上などたくさんの効能があります。

まさに万能薬と言っても過言ではないでしょう。

生姜をどれくらいとるといいのか?

1日60g程度を摂ると、関節痛などに効果があると言われています。

生姜の60gというと、生ではそれなりの量になりますが、乾燥生姜だと10分の1の6gで大丈夫だそうです。

またチューブタイプの生生姜などでも効果があります。

おすすめの食べ方は、ジンジャーティ(生姜紅茶)や生姜の砂糖漬けです。

手軽においしく生姜をとることができます。

ジンジャーティー

ジンジャーティー

生姜の砂糖漬け

生姜の砂糖漬け

ジンジャーミルクティーの簡単な作り方

筆者は毎日朝晩にジンジャーミルクティーを1杯ずつ飲むのが習慣になっています。

ジンジャーミルクティーの作り方はとても簡単!

ティーカップにティーバックとスティックシュガーを2本ほど入れ、チューブの生生姜を大さじ1杯分ほど入れて熱いお湯をカップの7~8分目ほど注ぎます。

ティースプーンで生姜がだまにならないように良く混ぜてから、牛乳を少し足します。

これでジンジャ―ミルクティーのできあがりです。

お好みにより、シュガーのかわりに黒糖やはちみつを入れたり、シナモンを足したりしても美味しいです。

筆者の場合、2~3か月足の裏の痛み(おそらく足底筋膜炎)が続いていたのですが、ジンジャ―ミルクティーを飲み始めたところ、数日でいつの間にか足の裏の痛みがなくなっていました。

痛みが軽減したら

このように生姜を習慣的に摂り続けると、痛みが少しずつ軽減していくでしょう。

とくに夜寝ていると痛む(夜間痛)というような炎症性の疑いがある痛みに効果が期待できます。

痛みが軽くなってきたら、無理のない範囲で少しずつ身体を動かすことが大切です。

過去の記事でご紹介したストレッチなどもおこなうとより効果的です。

テニスボールで腰ほぐれる!5分でできる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第4回】

腰の片側の痛みを改善!自宅でできる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第5回】

ヘルニア・狭窄症|ストレッチで改善する座っている時の痛みやしびれ【川口陽海の腰痛改善教室 第8回】

ぜひご参考になさってください。


文・指導/川口陽海
厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。

【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616
http://www.re-studio.jp/index.html

 

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