文/鈴木拓也

自律神経と腸の研究者として知られ、日本初の便秘外来を立ち上げた順天堂大学医学部の小林弘幸教授。

長年の研究から、食材がもつ数多くの力に気づき、大病をもたらしうる自律神経の不調を整え、長生きにもつながる食材も追求している。

その結果、たどり着いた1つの結論が、日本を代表する発酵食品の「みそ」であったという。

みその原料となる大豆は、もともと豊富な栄養素を含み、発酵させることでさらに栄養価が高まる。他大学の研究でも「発酵によって老化制御機能が生まれる」、「脳卒中を予防する効果がある」など効用が認められており、小林教授は、「スーパーフード」とも表現する。

そんなみその健康効果をさらに高めたのが、小林教授が試行錯誤の末に考案した「長生きみそ玉」。これを、野菜などを具にしてみそ汁にした「長生きみそ汁」がまさに「最強」の健康食だと力説する。

その「長生きみそ玉」とは、赤みそ、白みそ、玉ねぎ、りんご酢を素材に手作りしたもの。作り方は簡単で、なおかつ作り置きしておけば、毎日手軽に「長生きみそ汁」を摂れるという長所もある。

小林教授は、その作り方と多数のレシピを著書『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム刊)に掲載している。本稿では、本書にある作り方、そして3つのレシピを紹介しよう。

■「長生きみそ玉」の作り方

【材料】
赤みそ:80g、白みそ:80g、玉ねぎ:150g(約1個)、りんご酢:大さじ1
【作り方】
1. 玉ねぎをすりおろす。
ボウルなどに玉ねぎをすりおろす。バラバラになるのを防ぐため、玉ねぎの根は残したままで。事前に冷蔵庫で冷やし、ゆっくりすりおろすと、目が痛くなるのを抑えられる。

2. みそ、りんご酢を混ぜ合わせる。

1に赤みそ、白みそ、りんご酢を加え、泡だて器で混ぜ合わせる。みそがかたく、混ざりにくく感じるのは最初だけ。玉ねぎの水分のおかげで、すぐにスムーズに全体が混ざり合う。

3. 製氷器に入れて冷凍庫へ

10等分するように、スプーンで製氷器(縦約35mm×横約40mm×深さ約35mmで10個の氷が作れるもの)に分け入れ、冷凍庫で凍らせる。
冷凍庫で2~3時間凍らせ、シャーベットぐらいのかたさになれば完成。使用時はフォークでさして取り出す。

 

■レシピ1「こうばし野菜とお揚げさんのみそ汁」

ポイント:「なすには、ナスニンというポリフェノールの一種が、抗酸化作用やコレステロールを抑える作用があるといわれています。また、体内のナトリウムを排出するカリウムも」
【材料(2人分)】
長生きみそ玉:2個
油揚げ:1枚
なす:2本
長ねぎ:1/2本
ごま油:小さじ1

【作り方】
1. 油揚げは1cm幅に切る。なすは一口大の乱切りにする。長ねぎは3cm長さに切る。
2. 鍋に油揚げを入れ、香ばしくなるまで乾炒りして取り出す。ごま油は熱し、なす、長ねぎを入れて焼き色をつける。
3. 水300ml(分量外)を加え、蓋をしてひと煮立ちさせる。油揚げを戻し入れ、約1分加熱する。
4. 火を止め、みそ玉を加えて溶かす。好みでみょうがのせん切りを添える。

 

■レシピ2「豆腐とにんじんのツナ炒め」

ポイント:「にんじんに多く含まれるβ‐カロテンは体内で免疫力を高めたり、皮膚の健康維持に必要なビタミンAに変換。油といっしょにとると、効果が高まるといわれています」

【材料(2人分)】
長生きみそ玉:1個
ツナ缶(ノンオイル):小1缶
木綿豆腐:150g
にんじん:1/2本
小ねぎの小口切り、かつお節:各適量
サラダ油:小さじ1

【作り方】
1. にんじんは細切りにする。ツナは水けを切る。
2. フライパンに油を熱し、にんじんを入れて全体に油がまわるまで炒める。豆腐を大きめにちぎって加える。
3. ツナ、みそ玉を加え、豆腐の水分がなくなり、みそ玉が溶けるまで炒め合わせる。
4. 器に盛り、小ねぎの小口切りを散らし、かつお節を振る。

 

■レシピ3「みそごまだれ」

【材料(2人分)】
長生きみそ玉:1個
トマト:1個
きゅうり:1/3本
A-白練りごま:大さじ2、オリゴ糖:小さじ1/2、酢:小さじ1

【作り方】
1. 耐熱容器にみそ玉を入れ、電子レンジで20~30秒加熱して溶かす。
2. 1にAを混ぜ合わせる。
3. トマトはヘタを取り除いて1cm厚さに切り、きゅうりは斜め薄切りにして器に盛り、2をかける。好みでごまを振る。

赤みそには抗酸化力を高めるメラノイジンが、白みそにはストレス抑制効果のあるGABAが、おろし玉ねぎには解毒効果のあるアリシンやケルセチンが、りんご酢には塩分排出効果のあるカリウムそしてリンゴポリフェノールが豊富に含まれている。そして、これらが組み合わさった「長生きみそ玉」には、自律神経のバランスや腸内環境の改善、血液サラサラ、老化抑制など多くの健康効果が期待できると小林教授は解説する。

本書には、上で挙げた3つのレシピのほかに、肉や卵を具材にしたみそ汁や副食(おかず)などバリエーション豊かな料理の作り方が網羅されている。1日1玉で十分だそうで、毎日なにかしら「長生きみそ玉」を使った料理を食べるようにするとよいだろう。

画像提供/株式会社アスコム

【今日の健康に良い1冊】
『医者が考案した「長生きみそ汁」』

http://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-0995-9.html

(小林弘幸著、本体1,300円+税、アスコム)


文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

 

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