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取材・文/渡辺陽

9月に入って、朝晩はずいぶん過ごしやすい気温になってきました。真夏の猛暑で、運動をやめていた人も、そろそろウォーキングやランニングを再開しようと思われているのではないでしょうか。じつは、ガムを噛みながら歩くと、さらにエネルギー消費量を上げることができるのです。

■ガムを噛みながらのウォーキングでエネルギー消費量をアップ!

ウォーキングをすることで、糖尿病、心疾患などの循環器疾患、がん、ロコモティブシンドローム(ロコモ、運動器症候群、骨や関節や筋肉に支障をきたし、運動障害を起こすこと)、サルコペニア(筋肉量の減少症)などのリスクを減らせることが分かっています。厚生労働省では、運動を習慣化したり、日常生活において歩数を増やしたりすることを推奨しています。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、個人の健康づくりのための身体活動基準として、18~64歳の方の場合、「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行う」ことを推奨。この基準の運動量を満たす運動をしている人は、運動していない人に比べ、生活習慣病などのリスクを12%減らせます。ウォーキングだけでも運動の効果は期待できるのですが、早稲田大学スポーツ科学学術院・宮下政司准教授と株式会社ロッテの共同研究では、ウォーキングをしながらガムを噛むことで、さらにエネルギー消費量が高められることが分かりました。

この研究は、2017年5月14日~6月3日の間、21歳から69歳までの健常な男女46名を対象に行われ、ガムを咀嚼して15分間歩き、心拍数などを計測するという形式で実施されました。

■1年でビール大瓶約10本分を消費

共同研究の結果、ガムを咀嚼することで交感神経の活動が高まり、心拍数が増えて血液循環が良くなることがわかりました。それに伴いエネルギー消費量が増加します。中高年男性の場合、毎日60分間ガムを噛みながら歩くと、1日あたり6.8kcal、1年で2,482kcalものエネルギーを消費できるのです。これはビール大瓶約10本(2,520kcal)分になります。まさに塵も積もれば山となる。単にガムを噛むだけのことですが、知らず知らずのうちにエネルギー消費量を増やせます。

■中高年男性の場合、特にエネルギー消費量がアップ!

この研究では、特に中高年男性に効果が顕著に現れました。すべての男性被験者のエネルギー消費量が2.1%増だったのに対し、中高年男性の場合は3.5%増えたのです。女性の場合、すべての女性被験者では3.8%増、中高年女性に限定すると、2.5%増に留まったそうです。

これは、若年者よりも高齢者のほうが心拍リズムに伴って運動量が増えるため、血液循環が活発になることが影響していると考えられています。さらに、年齢や性別によって咀嚼機能が異なるため、中高年男性のエネルギー消費量が増えた可能性があり、さらに詳しく検証が進められています。

■安静時でもガムを噛むといい?ガムの種類は?

ガムを咀嚼すると、ウォーキング中だけでなく、安静時や食後、普通の歩行など、さまざまなシーンで交感神経の活動が活発になり、心拍数を増加させるので、エネルギー消費量が増加します。そのため、ガムの咀嚼は、体重管理を中心とした健康管理に有益であると考えられています。

ガムにもさまざまなガムがありますが、ガムの硬さなどによってエネルギー消費量が変わる可能性もあり、今後検証が必要だということです。将来、ウォーキングに最適な噛みごたえのガムが開発される可能性もあると宮下准教授は言います。

激しい運動ではありませんが、生活習慣病予防などに役立つウォーキング。ガムを噛むだけでエネルギー消費量が増えるというのも魅力的ですね。秋深まる季節、ひんやりした空気の中、ガムを噛みながらウォーキングを楽しんでみてはいかがでしょうか。

取材・文/渡辺陽(わたなべ・あきら)
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。小学館「サライ.jp」、文藝春秋「文春オンライン」、朝日新聞社「telling」、「Sippo」で執筆。自身は、健康のために鍼灸とマッサージに通う。

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