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取材・文/沢木文

認知症にまつわる研究が進み、生活習慣と認知症との関連性も注目されているなか、身近な認知症予防策として取り入れたいのが「ソーシャル・ウォーキング」だ。

これは、東京都健康長寿医療センター研究所の社会参加と地域保健研究チーム研究部長であり、医学博士の藤原佳典先生と衛生用品大手ユニ・チャームが提唱しており、経済産業省のモデル事業としても紹介されている。内容は「社会参加」と「歩くこと」で脳を元気にするというものだ。

「認知症の原因となる病気の45%がアルツハイマー病です。その他には、血管性認知症、混合型認知症などがありますが、これらの研究が進み、ある程度は予防できると考えられています」(藤原先生・以下「」内同)

その予防方法として大切なのは、生理的予防法認知的予防法の2つのアプローチだ。

「まず、“生理的予防法”は、ウォーキングなどの有酸素運動を心がけ、野菜や魚、赤ワインなどを適度に摂取すること。細胞の新陳代謝を活性化するライフスタイルは知られており、多くの人ができているのではないかと感じています。

そして、重要なのにあまり知られていないのは“認知的予防法”です。これは、友人や知人と会話して、神経のネットワークを強化することを指します。家族や友人と交流が活発な人は、そうでない人に比べると、認知症リスクに8倍もの差があります。まずは家族との会話をし、できれば家族外の人とも積極的にコミュニケーションをとっていただきたいのです」

緑黄色野菜を中心に、魚と野菜をバランスよく食べることが、認知症予防に効果的だ。自分で調理をすることも、脳の活性化につながるという。

藤原先生は新しい人と知り合い、会話することが認知症予防に有効だと続ける。

「生活習慣や文化を共有している人との会話より、新しい人との会話は、返事の仕方、敬語の使い分け、相手にわかりやすく話すなど、頭を使います。これに、有酸素運動などで歩くことが加わると、血の巡りがよくなって、認知症予防に絶大な効果を発揮します」

2018年5月に東京都の葛西臨海公園で行われた「ライフリー ソーシャル・ウォーキング体験会」で参加者に指導する藤原佳典先生。ソーシャル・ウォーキングにまつわるイベントは、全国に広がっている。

また、藤原先生は、“歩幅”もまた重要だという。漫然と歩いていてはダメなのだ。

「認知症の人の歩き方を見ていると、小股でちょこちょこ歩いている人が多いです。ポイントは65センチメートル。横断歩道の線と線の間くらいが目安だと思ってください。悠々と白線がまたぎこせるなら大丈夫。歩幅は広い方がいいことは、私たちの調査でもわかっています」

つまり、誰かと会話しながら、大股で歩くことが認知症予防には大切。それを両立するのが「ソーシャル・ウォーキング」なのだ。

「大股で歩く時に、尿もれや便もれが心配だという人も多いです。私は、そういう方には専用のパッドをおすすめしています。吸水性はもちろん、におい対策ができているものも多いので、積極的に活用してください」

「ソーシャル・ウォーキング」はイベントなども各地で行われているが、参加せずともできるという。

「例えば、歩きながら、近所の人や、顔見知りになった人にあいさつするのもいいですし、顔なじみになったコンビニの店員さんなどに“こんにちは”など言うところから始めてはいかがでしょうか。ペットを連れている人に、“かわいいですね”と話しかけるのもいいです。古地図など見ながら歴史の道を歩いたり、ボランティアに参加するなどもいいでしょう」

ポイントは、楽しく行うことだ。

「1日15~30分、週に2~3回、広めの歩幅を意識し歩き、その間にさまざまな交流を心がけることが大切です。認知症予防には、人と楽しく関わることが重要です」

今からできる認知症対策。まずは65㎝の歩幅を心がけ、近所の人にあいさつをするところから、始めてみてはいかがだろうか。

取材・文/沢木文

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