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健康

三浦雄一郎さんの「攻める健康法」|「ヘビーウォーキング」のやり方

文/鈴木拓也

三浦雄一郎さんも実践する、シニアにおすすめの「ヘビーウォーキング」|『歩き続ける力』

70歳、75歳、80歳で通算3度のエベレスト登頂に成功し、86歳になってアンデス山脈最高峰のアコンカグアに挑戦したシニアの星、三浦雄一郎さん。

さぞや、厳しい鍛錬と節制をおのれに課す日々を送っている…と思いきや、「どちらかというとズボラでナマケモノである」と、著書『歩き続ける力』で明かしている。食べ過ぎ、飲みすぎはしょっちゅうで、トレーニングも雨風を理由にサボるのはよくあるそうだ。

■年齢を気にせず新しい目標を持つ

では、どうして若者顔負けの体力・気力を保っていられるかと不思議に思うが、その秘訣の1つは、「年齢を気にせず、何歳になっても新しい目標を持つ」ことだという。

実は、三浦さんは、50代半ばでプロスキーヤーに区切りをつけた後、暴飲暴食がたたって、(身長164cmで)体重が90kgという激太りを経験。医者には、数年で人工透析が避けられないほどの不健康体との宣告を受けている。
この時65歳の三浦さんは、「5年後に、70歳でエベレストに挑戦しよう!」と大願を掲げる。
この目標を持ったことで心に火がつき、試行錯誤しながら「攻める健康法」を実践。2003年、70歳になって世界最高峰の登頂を果たす。

■トレーニングの要は「ヘビーウォーキング」

もちろん、登頂には単なる熱意だけでなく、トレーニングによるフィジカル面の強化も必要であった。その1つが、「ヘビーウォーキング」。ペットボトルなどで重くしたリュックを背負ってウォーキングするというシンプルだが、効果的なトレーニングのおかげで、みるみる体力がつき、肥満も解消された。

生涯にわたり歩ける体を保持するために、三浦さんは、今もこのヘビーウォーキングを続けているという。

ヘビーウォーキングは、何も三浦さんのような素質に恵まれた人ばかりでなく、誰がやっても効果があるとのことで、『歩き続ける力』の後半には、この実践方法が記されている。
以下、そのあらましを紹介しよう。

■事始めは15分の近所歩きから

もし、歩くこと自体最近あまりしていなかったら、「まず、近所を歩いてみよう」と三浦さん。

最初は15分。慣れてきたら20分、30分と時間を伸ばしてゆく。ルートを変えたり目的地を設定したりと、モチベーションを維持する工夫もする。
これだけでは、健康状態は現状維持にとどまるので、30分のウォーキングができるようになったら、ヘビーウォーキングへとチャレンジする。

■重りを身につけ週2回、10分でスタート

ヘビーウォーキングの第一歩は、1kgのアンクルウェイトから。アンクルウェイトとは、足首に装着するベルト状の装具で、内部に金属粉が入って重りの役割を果たしている。スポーツ店では、様々な重さのアンクルウェイトが販売されているが、軽量の1kgのものを2個購入し、片足に1個ずつ付けて歩いてみる。この負荷を加えることで、通常では鍛えにくい脚の裏側の筋肉が鍛えられるようになるとともに、骨密度もアップするという。

そして、リュックサック。汗対策として、アウトドア用の化学繊維のリュックサックを入手し、5kgくらいの重りを詰める。重りは水を満タンにしたペットボトルや厚い本でOK。

これで、最初は週2回、10分程度からはじめ、最終的には1日1時間のウォーキングを目指す。

■歩き方のコツはしっかり把握

ヘビーウォーキングには、効果を上げるための歩き方のコツがあるという。

基本は、「できるだけ胸を張って、左右の腕を振りながら、1歩1歩、ゆっくり歩く」。注意したいのは、高齢者によく見られる踵から踏み出し、踵から着地する歩き方。これではバランスを崩しやすいので、三浦さんは次のようなアドバイスをしている。

まず、片方の足の親指の付け根を意識して欲しい。次に、そこを支点として地面を蹴るように、もう片方の足を踏み出すのだ。着地は踵からになるが、その際も親指の付け根を意識しながら、足の底面全体を地面に着けるようにするのだ。また、膝から先を、振り子のように動かして歩くイメージを持つのがいい。両足を交互にスイングさせる。(本書88~89pより)

この歩き方だと、膝への負担を余分にかけることなく、筋肉を有効に使う(鍛える)ことになるとしている。

■ヘビーウォーキングに合った正しい呼吸で

どんな運動でもそうだが、正しい呼吸の仕方は重要でおろそかにはできない。

ヘビーウォーキングもしかりで、三浦さんは、「吸うことを先に考えるのではなく、吐くことから始めればいい」とする。その吐き方は、「下っ腹の腹筋に力を入れ、口笛を吹くように口をすぼめて強く吐き出す」というもの。
こうするのは、ゆっくり長く息を吐くため。このように吐くと、鼻が自然に空気を吸う動作になる。このリズムを保つのが、ヘビーウォーキングでは大事。

なお、腹式呼吸にこだわる必要はないとも。

■水分補給などは要注意

ヘビーウォーキングには、ランニングや本格的な登山のようなキツさはないものの、無益なケガや病気を避けるために、いくつかのNG行為がある。それは、次の4点だ。

・水分補給を怠る
・事前の過度なストレッチ
・山でのアンクルウェイト装着
・疲れが溜まっている日の実行

特に暑い季節の水分補給は死活問題になりうるので注意したい。また、帽子をかぶり、UVカット機能のついたサングラスをかける。逆に寒い季節は、変にやせ我慢してTシャツ・短パンといった軽装で済まそうとしない。そして、何よりもオーバーワーク気味なのに鞭打つように毎日実行するのはいけない。疲れが引くまで頻度や強度を落とすのは、三浦さん自身も励行していることである。

*  *  *

本書には、ヘビーウォーキングといった鍛錬ばかりではなく、食事、睡眠、脳トレ、日頃の心がまえなど、ライフスタイル全般にかかわる「攻める健康法」が説かれている。「いつか富士山を登りたい」など、大きな目標がある人は、読んで実践してみるとよいだろう。

【今日の健康に良い1冊】
『歩き続ける力』

https://www.futabasha.co.jp/booksdb/smp/book/bookview/978-4-575-31434-2/smp.html

(三浦雄一郎著、本体1,000円+税、双葉社)

『歩き続ける力』
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

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