文/鈴木拓也

みなさんは、「らぬ・らぬ・らぬ・らぬ・らぬ」と、「らぬ」を5回連続してよどみなく言えるだろうか? 途中から「なる」になってしまうなら、もしかすると滑舌が衰え、声が老化しているかもしれない。

上野ヴォーカルアカデミー代表の上野実咲さんによれば、「らぬ」のつもりが「なる」になるのは、「唇や舌を動かす口の周りの筋肉が、反復運動に耐えられない状態にまで弱っている証拠」だという。つまり、年とともに身体の筋力が衰えていくのと同じで、発声にかかわる口、舌、声帯の筋力も衰えてゆくというのだ。

上野ヴォーカルアカデミー代表の上野実咲さん

上野さんは、声を老けさせてしまう筋力の低下を防止するだけでなく、若返らせるほど効果のあるメソッドの数々を、著書『声が20歳若返るトレーニング』(ヤマハミュージックメディア)にまとめている。

いずれも、自宅で行えるセルフトレーニングで習得は容易。詳細は本書をお読みいただくとして、ここではその1つ「ティッシュトレーニング」を紹介したい。

【用意するもの】
ティッシュペーパー4~5枚

【やりかた】
(1)ティッシュペーパー全部を手で丸め、ピンポン玉くらいの大きさにする。

(2)口の中にいれ軽く噛む。このとき上下の唇で、ティッシュペーパーが口にすっぽりはまり込むようにくわえる(唇の力で固定し、隙間ができないように注意)

(3)鼻から息が抜けないよう、大きな声で「うー」と発声する。発声したときに、息は丸めたティッシュペーパーを通り抜けるようにし、頬はふくらまさないようにするのが大事。これを2分ほど繰り返す。

このセルフトレーニングを毎日続けることで、加齢によって衰えた複数の筋肉を無理なく鍛え、遠くに響く声を自然に出せるようになるという。

上野さんは、本書で次のように述べている。

人の声の印象は最初に決まります。極端に言えば、第一声が若々しければ、声の印象はまるで変ってくるのです。(本書p.28より引用)

ティッシュトレーニングは、その第一声を力まずに出すのに効果的。ティッシュペーパーを口から取り出して声を出したときに、発声が楽になっているはずで即効性もある。

もう1つだけ、本書にある簡単なセルフトレーニングを紹介しよう。それは母音だけで本・新聞を読むというもの。

例えば、「吾輩は猫である。名前はまだない」は、「あああいあ えおえあう ああえあ あああい」となる。この訓練は、母音をきちんと発声できるようにし、発音が聞き取りやすく、かつ声の響きを明るくする効果があるという。

本書ではこのほか、割ばしを奥歯でくわえて発声する「割ばしトレーニング」や、ペットボトルで(発声力に必要な)腹式呼吸を身につける「ペットボトルトレーニング」など、習得も継続も容易な方法が載っている。声から若返らせたい方は、1つずつトライしてみるとよいだろう。

【今日の健康に良い1冊】
声が20歳若返るトレーニング
(上野実咲著、本体1,500円+税、ヤマハミュージックメディア)

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

 

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