6月に入り、梅雨入りした地域も出てきましたね。
今はちょうど、二十四節気でいう「芒種」を過ぎたタイミング、芒のある穀物や稲など穂の出る穀物の種をまく季節ということから、芒種と言われています。
梅の実が青から黄色に変わり、かまきりや蛍が現れ始めるころでもあります。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回の記事では今までの記事で触れてこなかった昔と現代の漢方医についてお話したいと思います。
第一回目は、昔の漢方医に関する落語の話から、漢方医学や漢方薬のお話をご紹介します。
江戸時代より以前の日本では、伝統医療として発達した漢方医学が主流であり、古典落語に登場する医師は基本的に漢方医です。
落語に詳しい読者の方はご存知かもしれませんが、「泳ぎの医者」という古典落語の演目があります。藪医者を徹底的にこき下ろした話で、その「まくら」として有名な藪医者小話というものがあり、葛根湯医者という人物が出てきます。
来る人来る人に漢方薬の一種である葛根湯を薦める医者がいた。
「頭が痛い? 頭痛ですね、葛根湯をおあがり。次は風邪? 葛根湯をおあがり。今度は筋肉痛?葛根湯をおあがり。次は……」
「先生、私は単なる付き添いですが」
「付き添い? 退屈でしょう、葛根湯をおあがり」
この小話は、一見何の症状に対しても同じ漢方薬を処方する医者がいて、実際こんなお医者にかかるとたまったもんじゃないという笑いを誘うものです。