ところで、通常のお薬は治験を通して効能の評価をすると思いますが、漢方薬の効能は制度上担保されていますか? また科学的に証明されているものなのでしょうか?
「現在日本国内では、健康保険が適用される医療用漢方製剤として、148処方が薬価収載され、医療機関から処方されるようになっています。
通常の薬の臨床研究などで用いられる無作為化比較試験(RCT)に基づくエビデンスについて、すべての処方で検討されているわけではないため、現状整備が進められています。多くの臨床試験は病名に対する薬の効果を見るものですが、漢方は病気ではなく、その病気を持っている人間に対して個別化した薬を服薬してもらうのが通常ですので、病名に対して一律に薬を投与して比較する研究方法は馴染みません。そうしたことから、様々な基礎研究に加え、漢方にふさわしい臨床エビデンス創出の手法が開発されてきております。
伝統医学の漢方は、時代の要請にしたがって取り巻く状況が大きく変化しているのですね。
次回は薬膳に関する気になる疑問について聞いてみる予定です。
文/葉山茂一(はやま・しげかず)
漢方デスク株式会社代表取締役。漢方・薬膳の総合ポータルサイト「漢方デスク(http://www.kampodesk.com)」を企画・運営。
取材協力/渡辺賢治(わたなべ・けんじ)
慶應義塾大学環境情報学部教授医学部兼担教授。漢方デスクの漢方医学監修を務める。
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