文/印南敦史

メディアではしばしば、「〇〇で体重が〇kg減りました」というような“ダイエットの成功例”が紹介される。写真やデータによって結果が明示されていたりすればなおさら、「ここまで減るならやってみる価値はあるかも」と感じることになるかもしれない。

しかし忘れるべきでないのは、それらは「きちんと続けた」ことを大前提としたものだということである。

逆にいえば続けることはなかなか難しいわけだが、『勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(齋藤真理子 著、アスコム)の著者によれば、ダイエットを続けられるようにするためには次の5つのポイントが重要であるようだ。

・効果がすぐに感じやすい
・忙しくても簡単にできる
・やることを忘れにくい
・がまんしなくてもいい
・体調がよくなる
(本書「はじめに」より)

そこで、これらを実現する手段として著者が考案したのが「齋藤式満腹やせメソッド」。当然ながら「大食いしてもOK」という意味ではなく、「できるだけ“満腹”を感じながらやせていく」というところに焦点を当てたものである。

とはいえ難しくはなく、やるべきことは次の3つだけ。

1.MCTオイル生活
2.「満腹フード」を使ってラクに糖質を減らす
3.「戦略的間食」を摂る
(本書「はじめに」より)

実際にこのメソッドを3週間試してもらったところ、被験者の体重は平均でマイナス1.2kgだったという。しかも、「リバウンドした」という声もあまり聞かないのだそうだ。

ところで、なかでも気になるのが1.だ。「MCTオイル」を食事にかけたり、食事中にサプリのようにとったり、つまりは食事に加えることで、内臓脂肪が勝手に燃える体になるというのである。

MCTは中鎖脂肪酸の英語名Medium Chain Triglycerideの略称で、母乳や牛乳などの乳製品、さらにはココナッツなどのヤシ科植物の種実に含まれる成分です。
さらに言えば、MCTオイルが食卓に並んだのは、まだ歴史が浅いですが、50年以上、医療や介護、スポーツなどの現場では使われてきたものなのです。(本書85ページより)

内臓脂肪が勝手に燃える体質になるために必要なのは、「脂肪燃焼体質になる」ことと「血糖値を安定させる」こと。MCTオイルは、ただ食物にかけるだけでこの療法を叶えてくれるというのだ。

なぜならMCTオイルを摂れば、脂肪燃焼回路も糖質燃焼回路も活動するようになり、脂肪が落ちてケトン体が大量に発生し、代謝も上がるから。

ただし、MCTオイルを摂りさえすれば、糖質をいくらでも食べていいということではない。糖質がエネルギーに変わりやすくなるとはいえ、大量に摂ればインスリンによって脂肪へと蓄えられる。その脂肪を脂肪燃焼回路が燃やしていくという状態になるわけで、例えるなら、浴槽に水を入れながら栓を抜いているような状態だ。

それではまったく意味がなく、続きにくく、健康を損ねることにもなりかねない。健康を損ねずに続けるためには、いかにラクに、できるだけ糖質を摂らないようにするかが重要なのだ。

では、どうすべきか?

手っ取り早いのが、糖質の高いご飯やパンといった主食を減らすこと。だが、満足できなければ続けることは難しそうだ。そこで著者が勧めているのが、満足感を覚えながら糖質をオフできる「満腹フード」。それらには「かさ増し」「置き換え」という2つの方法があるという。

ご飯やパンの量を減らしたぶん、別の低糖質な食材で量を「かさ増し」して満足感を得る方法と、主食を別の満足感を覚えやすい食材に「置き換える」というもの。

1合分炊いて、それを3〜4回分に小分けにし、余ったものは冷凍保存できるので、作り置きすることも可能。大よそ4割の糖質カットになります。(103ページより)

置き換えの食材に関しては、バナナとサラダチキン、そして玄米がおすすめだそうだ。

バナナは、糖質が多そうなイメージがあるかもしれませんが、ご飯と比べると、100gごとに4割も糖質を減らすことが可能。ご飯はちょっと多めの中盛だと150g、バナナ1本が100gなので、置き換えると、糖質は6割減になります。(105ページより)

3つ目は「戦略的間食」。間食には太りそうなイメージがあるが、戦略的に摂ることで「太りにくい体」にすることができるのだという。ポイントは、「いつ」「なにを」「どれくらい」食べたらよいかということ。

詳細に関しては本書をご確認いただきたいが、少なくともこの3ポイントはつねに意識しておきたいところである。

『勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』
齋藤真理子 著
アスコム
1,320円

文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)などがある。新刊は『「書くのが苦手」な人のための文章術』( ‎PHP研究所)。2020年6月、「日本一ネット」から「書評執筆数日本一」と認定される。

 

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