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文/印南敦史

懐かしの給食メニューを再現できる!|『日本一の給食メシ 栄養満点3ステップ簡単レシピ100』

年齢を重ねても「あれをまた食べてみたい」という気持ちが消えることのない、思い出の食事は誰にでもあるものだ。

もちろん、食べたいメニューも人それぞれだろう。しかし、そんななかにあって共通項となりうるもののひとつが「給食」ではないだろうか?

給食の制度がなく、弁当持参が義務づけられていた学校に通っていたのであれば話は別。しかし、それ以外の多くの人々の記憶のなかには、給食体験が残っているに違いないからだ。

もちろん給食には、必ずしも好きなメニューばかりが出たわけではなかった。というよりも、現実的には苦手なものも少なくはなかったはずだ。

しかも現代と違って、昔は給食を残すことが許されないというような空気もあった。「食べ切るまで席を立つな!」と、先生も厳しかったのである。そのため、嫌いなものが食べられずに四苦八苦したという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない(かくいう私がそういうタイプであった)。

だが苦い思い出も、いまとなっては笑い話だ。成長していく過程において給食の価値が大きかったことは事実であり、「あのメニューが苦手だったよなぁ」といった記憶もまた、給食に対する懐かしさとして機能してくれるのである。

そんなこともあり、『日本一の給食メシ 栄養満点3ステップ簡単レシピ100』(松丸 奨著、光文社新書)というタイトルを見ただけでグッとくるという方も多いのではないだろうか

 私は普段、公立小学校で栄養士をしています。栄養価たっぷりで、子どもたちが喜ぶ美味しいレシピを考える仕事です。
いつも頭の中は、給食のことでいっぱい。人生で一番大切なのは給食。周りからは「給食バカ」と呼ばれています。(本書「はじめに」より引用)

著者は自身についてこう説明しているが、「給食バカ」であるがゆえに注目を集める機会も多く、テレビや雑誌から取材されたり、ドラマ(フジテレビ『Chef〜三つ星の給食〜』)の監修指導をしたこともあるのだという。

そればかりか2013年に開催された「全国学校給食甲子園」において、男性栄養士として初めて日本一の座についたのだそうだ(このような大会があること自体が驚きではあるが、ウェブサイトを確認する限り、なかなか盛大に行われているようである)。

子どもたちに食べることは楽しいことだと知って欲しいし、食べることを好きになってほしい。
成長や健康につながることはもちろんですが、食事の時間を楽しいと思ってほしい。
これが私のモットーです。
だからいつも人生をかけてレシピを作ってます。
その楽しさを、子どもたちだけではなく、より多くの人に知ってもらうことはできないか。これが本書を執筆しようと思ったきっかけです。(本書「はじめに」より引用)

このような考え方に基づいて書かれているだけに、本書に掲載されているレシピは、すべて実際の給食をアレンジしたものだ。しかも、つくりやすさを重視するため、すべての料理の工程は「3ステップ」でできるものだけに絞られている。

 魚焼きグリル、電子レンジ、オーブントースターなどを活用し、徹底的に時短を追求。
また、冷凍シーフードミックスなどのお手軽な食材も使って、とにかく簡単&美味しい作り方を考え抜きました。
そして、全100レシピを一挙に掲載。好き嫌いがある人も必ず食べたい料理、作りたい料理が見つかるはずです。(本書「はじめに」より引用)

つまり本書を活用すれば、我々にも簡単に懐かしの給食メニューが再現できてしまうということだ。余談だが、まず最初に給食の大定番である揚げパンが大々的に紹介されているのもうれしいところではある(しかも所要時間3分というのだから驚き)。

とはいえ掲載されている美しい料理写真を眺めていると、多少の違和感を感じる可能性も否定できない。サライ世代が知っている給食にくらべ、洗練された料理が圧倒的に多いからである。

しかし実際のところ、現代の給食には以前では考えられなかったほどおしゃれなメニューが登場したりもする。昭和の給食のイメージはもはや過去のもので、給食も進化し続けているのである。

それに、本書のレシピを見ながらメニューを再現したとしたら、それは絶対的に「自分のための給食」である。つくることができれば、それは間違いなく充足感や達成感につながるのだ。

そう考えてみると、給食の再現はプラモデルの組み立てにも似ているのではないか。いわば「給食をつくってみる」という行為が、ここでは大人のための遊びとして機能しているといっても過言ではないということ。

だとすれば、理屈から距離を置いて純粋に楽しんでしまえばいい。

だから、「給食が、絶品おつまみになる時代!」というパートで紹介されている「青のりポテトビーンズ」も、「給食も“グローバル化”が進んでます アジアンとエスニックも正義!」の冒頭を飾る「牛肉とレンコンのナンプラー炒め」など給食的ではないメニューも、充分にアリなのだ。

早い話が、これらのレシピをフル活用し、“プライベートなネオ給食ごっこ”を楽しんでしまえばいいのだから。

『日本一の給食メシ 栄養満点3ステップ簡単レシピ100』

松丸 奨/著

光文社新書 定価 本体900円+税

2019年2月発売

『日本一の給食メシ 栄養満点3ステップ簡単レシピ100』

文/印南敦史
作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』などがある。新刊は『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)。

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