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「元気長寿者」の暮らしぶり|『百まで生きる覚悟』

文/印南敦史

「元気長寿者」の暮らしぶり|『百まで生きる覚悟』

『百まで生きる覚悟』(春日キスヨ著、光文社新書)の著者は家族社会学者。父子家庭、不登校、ひきこもり、障害者・高齢者介護の問題などについて研究を続けてきたという実績の持ち主である。

1990年代初頭からは高齢者家族の変化を追ってきたそうだが、近年は大きな変化を感じるのだという。80代後半以上の夫婦ふたり暮らし、ひとり暮らし、それも身近に身寄りがない長寿期にある人たちなどが増えているということだ。

そしてそんななかで実感しているのは、「力がある高齢者は、まだ若く力があるうちに備えをしておいてほしい」「いまの高齢者は成り行き任せで、なんの備えもしていない」という意見が、支援者や家族介護の担い手から増えてきたということ。

だとすれば、世話をする側、支援者側にそう言わせてしまう高齢者側の意識と備えの実態とはどのようなものなのだろう? 彼らは本当に、「成りゆき任せ」でなにもしていないのだろうか。もしもそうなら、その背後にはどのような理由が関わっているのだろうか。

そうしたことを確かめるために、40代から60代の介護を担う人の親世代にあたる70代、80代の高齢者、それもアクティブに活動する高齢者に、「自分がこれから老いて、誰かの世話が必要になった時のために、どんな備えをしているか。どこでどうするつもりか」と、話を聞いていった。こうした「アクティブな高齢者」に限定したのは、経済格差が大きい高齢者の場合、その原因が及ぼす影響を少なくしておきたかったからである。(本書「はじめに」より引用)

さらに著者は、元気で在宅暮らしをする90代、100歳代の「元気長寿者」から、「長寿に向けてどんな備えをしていたか」「これから倒れたときにどうするつもりか」「日々どのような暮らしをしているのか」などについて話を聞いてもいる。

言うまでもなくそれは、これから年老いていく下の世代の高齢者に必要な、長寿期への備えや生き方・暮らし方を探ることができるかもしれないという思いがあるからだ。

その結果、著者の想像を超える「元気長寿者」の元気な暮らしぶりが明らかになったという。しかしその一方、長寿化がさらに進み、介護を必要とする人が増えるであろうこともまた事実だ。

そうした状況の中で、現在はまだ元気でアクティブに活動する団塊世代を含む「昭和期生まれ」高齢者には、上の年代の「大正期生まれ」高齢者とは異なり、長寿期を一人で生きる備えが必要になっている。「人生100年時代」といわれる今日、多くの人は「ピンピンコロリ」を望んでも、お迎えが来るまではあの世に逝けず、加齢による脆さと弱さを抱えて「ピンピン・ヨロヨロ・ドタリ」という形でしかあの世に逝けない時代になっている。
だとしたら、「備えあれば憂い少なし」。「百まで生きる覚悟」を持って、自力でできることは備えておく。何より、「ピンピンコロリ」と逝けない時代、人の世話が必要になる最晩年期が待つことを覚悟し、「どこで、誰の世話を受けて、自分はその時期を生きていきたいか」「そのためには何が必要か」「住み慣れた自宅に可能な限り住み続けたいなら、どんな備えが必要か」といった「老い支度」を、まだ元気な高齢者の間にしておいた方がよい。(本書「はじめに」より引用)

そうした取り組みをすることは、決して「暗い」ことではないと著者は断言している。なぜなら「歳をとる」ことには「歳には勝てない脆さ」があるだけではなく、「歳をとっても“私”は“私”」と、状況を新たに拓いていく力を人は持っているからだ。

「自分に足りないところは人に助けてもらえばいい」「他人の世話になることをみじめと思わない」などといったことを、著者は「元気長寿者」から学んだというのだ。

事実、ここに登場する「元気長寿者」たちの日常生活は、たしかにこちらの想像以上にアクティブだ。たとえばその好例が、第1章で紹介されているAさんである。

1917年(大正6年生まれ。夫は60代で死去。Aさんが自力で購入した居宅に娘夫婦と同居するも、Aさんが86歳のときに娘も死去。その後も娘の夫(70歳間近)と同居し、経済面はAさんが定年まで働き続けて得た年金でまかなっているという人物。

100歳間近であるにもかかわらず、同居する娘婿の食事を作り続け、娘婿が生活費をいっさい負担しないなかで面倒をみているというだけでも驚きである。しかも食堂を経営している孫のために、ラッキョウの甘酢漬けを毎年40キロも漬け、趣味の編み物にも積極的に取り組んでいるのだという。

なにより注目に値するのは、家事を自分で決めたスケジュール通りに日課としてこなしている点だ。

Aさん「私みたいに時計を見て一日を過ごしている者は少ないと思います。
朝5時過ぎに目を覚まし、テレビをつけ、6時10分前に起きます。起きたらすぐ、仏様の水を替えて。仏壇が1階と2階に2つあるので大変なんですが、階段の手すりにすがってそれをして、その後、着替えて食事の準備をします。
婿に朝食を食べさせ、後片付けをすると、7時。その後は普通、編み物をします。11時半になると、昼の準備、食事、それを片付けて、3時半になると夕食の支度。5時頃には婿に夕食を食べさせます。
夕食の片付けをしてお風呂。7時か、8時くらいまでテレビを観て、その後、寝ます。年中、時間の通りに動く。だからけっこう忙しいんです」(本書41〜42ページより引用)

読んでいるだけでパワーがもらえるようなアクティブぶりだが、同じことは他の「元気長寿者」たちにも言える。状況を受け入れ、できることをし、しかも楽しんで生きている人がとても多いのだ。

もちろん、いいことばかりではないだろう。たとえば生活費を出さない娘婿に対し、文句も言わず食事を提供し続けるAさんの状況にしても、決して健全とは言えない。しかしそれでも、生きることを楽しんでいる。それがわかるからこそ、「元気長寿者」たちの生活に強い関心を持つことができるのである。

そして、それらはきっと、いつか必ず長寿者となる我々の生き方に対するヒントとなりうるだろう。

『百まで生きる覚悟 超長寿時代の「身じまい」の作法』

春日キスヨ/著

光文社新書

 定価:820円+税

2018年11月発売
『百まで生きる覚悟』

文/印南敦史
作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』などがある。新刊は『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)。

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