皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第38回のテーマは、「肩こりに効く漢方薬」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
代表的な肩こりの原因
現代人の代表的な悩みのひとつが肩こりです。とくに、女性は男性よりも肩こり人口が多く、3人に2人が肩こりに関する悩みを抱えているという調査結果もあります。
成人の頭の重さは4~6kgほどあり、首の角度を少し曲げるだけで負荷は何倍にもなります。人間は直立歩行で常に重い頭と腕を支え続けているので、日常的な生活を続けるだけでも体にストレスがたまります。
肩こりの原因は、西洋医学的には「筋肉の緊張」「加齢による骨や腱の衰え」「血圧の異常や心筋梗塞などの病的なもの」などですが、東洋医学的観点からも3つに分類できます。それぞれの特徴をみていきましょう。
1.気滞血瘀
「気滞血瘀(きたいけつお)」は、体の「気(き)」と「血(けつ)」が停滞している状態を指します。ストレスや精神的な疲れがたまると気と血の流れが滞り、肩こりの原因となってしまいます。
東洋医学には「不通則痛(ふつうそくつう)」という考え方があり、「気血水」のどれかが滞ると痛みにつながるといわれます。また、スマホなどで目を酷使する場合は肝血の消耗を招き、肩こりの原因になりやすく、慢性化する場合も珍しくありません。
2.痰湿凝滞
「痰湿凝滞(たんしつぎょうたい)」は、水分代謝が悪くなり、経路が滞ることで、肩こりになった状態です。酒や水分の過剰摂取や、脂ものが多く乱れた食生活などにより、血中に湿痰という余分な澱みがたまって悪い影響が出ているのが原因です。
雨の日や湿気が多い日に肩が重くなることがあり、気滞血瘀と同じく慢性化しやすいタイプです。
3.風寒侵入
「風寒侵入(ふうかんしんにゅう)」は、体の外側から風寒の邪気が侵入し、経路の流れが悪くなった結果、肩こりになるタイプです。
夏場でも、汗をかいたあとにエアコンの冷たい風にあたるなどしてなりやすく、肩こりだけでなく肩の痛み、こわばりが生じることもあります。
肩こりに効く漢方
ここからは、それぞれ3つの肩こりのタイプに合わせ、なぜこの症状にこの漢方が効くのか、効能も含めておすすめの漢方薬をご紹介します。
1.気滞血瘀の肩こりに効く漢方
■通導散(つうどうさん)
比較的体力のある方に用いられ、血の巡りが悪くなった瘀血(おけつ)状態の改善が期待できます。肩こりや頭痛、生理不順にも処方されます。
■加味逍遙散(かみしょうようさん)
血流を良くし、上半身の熱を冷まします。肩が凝り、のぼせ感や疲れやすさがある場合に処方されます。ホルモンバランスを調整し、月経不順にも用いられます。
2.痰湿凝滞の肩こりに効く漢方
■麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)
発汗作用がある麻黄が含まれており、肩こりの改善が期待できます。筋肉痛、関節痛にも用いられます。
■二朮湯(にじゅつとう)
四十肩、五十肩に使われる代表的な漢方薬で、肩や上腕の痛みの改善が期待できます。体力は中くらいか、比較的弱い方に処方されます。
3.風寒侵入の肩こりに効く漢方
■葛根湯(かっこんとう)
発汗作用があり、風寒邪を汗で外部に飛ばし、肩こりの改善が期待できます。また、血流の滞りを軽減する効果があり、冷えにも用いられます。
■桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)
自然発汗がある場合は葛根湯よりこちらを使います。体力が低下した方に処方される漢方薬で、肩こりのほかにも頭痛や悪寒、発熱がある場合に処方されます。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
漢方は体を構成する要素を「気血水」の3つとして考え、様々な“ものさし”も使い、体の診断を行います。そして、人それぞれに合った薬を処方する、いわばオーダーメイド型の医学です。
漢方薬は体質改善を目的にしていて、しつこい肩こりの悩みでも根本的な改善を目指せます。自然由来の生薬から構成されていているので、西洋薬に比べて副作用のリスクが低いのもメリットです。
漢方薬を選ぶ際には、漢方に精通した医師や薬剤師に相談するのが大事で、それがつらい症状や体質改善の近道にもなります。
「なかなか病院や漢方薬局に行く機会を作れない」「もっと気軽に利用したい」という方におすすめなのが、今注目を集めているあんしん漢方です。
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肩こりの3つの原因を見極め、漢方薬で改善を目指そう!
肩こり体質には気滞血瘀、痰湿凝滞、風寒侵入といった3つのタイプがあり、いずれも漢方薬で改善を目指せます。
肩こりの症状は慢性化しがちですが、しっかりと体質から変えていくことで、つらい症状を和らげることができます。
「自分は肩こり体質だから」とあきらめずに、前向きに考えていきましょう。
さて、次回は「脂肪燃焼に効く漢方薬」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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