皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問への答えや基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第6回のテーマは、「漢方の考え方(3)気血水」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、篠原明宏さんに教えてもらいました。
漢方の考え方とは
漢方には「証(しょう)」という考え方があります。これは西洋医学でいうところの「診断」に似ています。その人の体の置かれた状態や体質をあらわしていて、漢方薬を処方する前には必ず「証」を決定し、それに準じた治療を行っていきます。
例えば、西洋医学のように病名を当てはめ治療するのではなく、漢方はそれぞれの体に合わせた、いわばオーダーメイドの治療を行います。また、漢方は予測医学という面もあり、病気になってから治すのではなく、体のバランスを整え、偏りを治すという考え方があります。
今回の記事では、体の状態を測るものさしのひとつであり、「証」と同様に重要な「気・血・水」に関して解説していきます。
東洋医学における体の3つの要素「気・血・水」
漢方では、体は「気・血・水」という3つの要素で構成されていると考えています。これら3つのバランスが崩れたり偏ったりすることで不調が起きるというのが、東洋医学の基礎理論です。
・気(き)
心と体を巡っている気力や精神力などの源となるエネルギーです。形がなく目に見えないものを指します。「血」と「水」の流れを助けます。
・血(けつ)
血液を意味するだけでなく、そこに含まれている栄養素のことも指しています。体の各所に栄養を行き渡らせます。
・水(すい)
汗や唾液、リンパ液など血液以外の体液です。体のあらゆる水分を指します。老廃物を体外に排出する働きもあります。
特に「気」は西洋医学にはない概念です。自律神経の働きに近く、呼吸や精神、神経に関わっています。気血水はそれぞれが助け合い、バランスを維持することによって健康を保ちます。
気・血・水からみる体質タイプ
気血水はひとつでも欠けると健康に不調が起きてしまいます。そして、気血水の観点から見ると、体の状態が正しく診断できます。どれが不足し、どう偏っているかで自己判断も可能です。それぞれのタイプごとに特徴をまとめました。
1.血虚(けっきょ)
血が不足し、栄養不足に陥っている状態です。貧血やめまい、血行不良などが起きます。皮膚の乾燥、荒れ、あかぎれなどが起こります。顔色が優れず、疲れ目や抜け毛などが目立つ場合もあります。
2.気虚(ききょ)
気が不足し体力が落ちている状態です。疲れやすく倦怠感があり、やる気が出ず無力感があります。食欲不振や胃もたれ、下痢症状が起きることもあります。また、免疫力が低下し風邪を引きやすくなります。
3.陰虚(いんきょ)
必要な水分やうるおいが不足している状態です。水分の保持力が低下しているため、水分を摂取するだけでは解消されず、のどの渇きが治まりにくい特徴があります。唇がひび割れ、口や鼻の粘膜が乾燥し、せきが出やすくなります。
4.気滞(きたい)
気の流れが滞りスムーズにいかない状態です。精神的に落ち着かず、イライラするなど情緒が不安定になります。胃腸も不安定で、おなかにガスが溜まりやすくなります。また、女性は月経周期が乱れ、胸の張りの痛みなども起こります。
5.瘀血(おけつ)
血液の流れが悪くなり、体に栄養素が行き渡りにくく、老廃物の排出にも問題がある状態です。肩こりや頭痛、冷え性や生理不順が起きます。肌のくすみやシミ、そばかすも目立ち、傷やあざが治りにくく残ります。また、様々な疾病、慢性病の原因にもなります。
6.水滞(すいたい)
余計な水分がたまった状態です。水分の摂りすぎ、内臓機能の低下などが原因です。むくみや肌の代謝の低下、頭痛、めまい、立ちくらみや、吐き気が起こります。また、雨の日に頭痛が起きる場合もあります。
体質タイプの判断は、それぞれの状態や症状が似ていて迷う場合もあり、自己判断には限界があります。そういった場合は、正しい漢方の知識を持っている医師や薬剤師にご相談ください。
体質に合う漢方の見極めは、医師や薬剤師にお任せ
気血水は体質を測る便利なものさしです。しかし、そのものさしも正しく使えなければ意味がありません。そして、漢方薬もそれは同じです。自分の体質に合わせて漢方を選ぶことが重要で、その見極めは正確でなくてはいけません。
自分の体に合わない漢方薬を飲み続けると、不調が治るどころか悪化する可能性や、副作用の危険性もあります。漢方薬は正しく体質を判断し、適切なものを服用してこそ最大限の力を発揮できます。
「いちいち病院に行くのが面倒」「気軽に漢方薬を購入したい」という方には、スマホなどで気軽に利用できる「あんしん漢方」がおすすめ。漢方医療チームとAIの連携により、あなたに合わせた漢方薬を選んでくれます。
「あんしん漢方」では、定期的に体質や症状のチェックを行っており、現在の状態を的確に判断し、精度の高い漢方薬を提供しています。また、必要なときには漢方サポートドクターに相談ができます。個別に悩みを聞いてくれるので、漢方薬に関する疑問や不安解消にも最適です。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0081
気・血・水のバランスを保ち、健康を維持しよう
体質のタイプを判断するのに便利な気血水。絶妙なバランスで成り立っていて、その維持こそが健康そのものにつながるといえます。漢方薬はそのバランスを直し、キープするためにとても有効な手段です。
次回も、「漢方の考え方」をお届けします。漢方薬の考え方の基本を知ると、より漢方薬が身近なものに感じられますよ!
<この記事を書いた人>
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