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■2本目:国産ウィスキー『岩井トラディション』

よく冷えた炭酸と氷で作った岩井のハイボール

今回、私が2本目に選んだのは、国産のブレンデッド・ウィスキー『岩井トラディション』(750ml、税込み2160円)です。長野県の駒ケ岳にある「マルス信州蒸溜所」がつくっているウィスキーですが、母体は焼酎の名門蔵として知られる鹿児島県の「本坊酒造」です。

いま、ウィスキーが静かなブームといわれます。そのブームの招来に一役買ったものに、某ウィスキーメーカーが仕掛けたウィスキーのソーダ割“ハイボール戦略”があります。もっといえば、極めつけは国産ウィスキーの誕生に生涯をかけたニッカの創業者・竹鶴政孝と妻リタをモデルにしたNHKの朝の連続テレビ小説『マッサン』(2014年9月~2015年3月放送)、その影響が一番大きかったようにも思います。

今回、用意したのは、じつは『マッサン』とも縁の深いウィスキーです。

再稼動後のポットスチルと呼ばれる蒸溜器

後にニッカを創業する竹鶴政孝が、大阪高等学校の醸造学科を出た若かりし頃のこと。彼は、学校の先輩であった岩井喜一郎を頼って、大阪の摂津酒造(現・宝ホールディングス)に入社します。岩井喜一郎は、明治42年にアルコール連続蒸溜装置を考案、すでにアルコール界の権威と目されていた人物でした。

その岩井の指示で、竹鶴がスコットランドへウィスキーの製法を学びに赴くのは大正7年(1918)年。本場のウィスキー造りを学び、やがて帰国した竹鶴が提出した詳細な報告書「竹鶴ノート」は、後の岩井喜一郎の蒸溜所設計に大いに参考になったのです。

岩井喜一郎さん

そんな国産ウィスキー誕生の原点とも深いかかわりを持つ人物・岩井喜一郎の娘と結婚したのが、岩井の教え子でもあった本坊蔵吉、後の本坊酒造会長です。

その関係から長野県駒ケ岳の「マルス信州蒸溜所」には、岩井喜一郎が昭和35年(1960)に設計した蒸溜釜が設置され、以来、本物志向のウィスキー造りが続けられてきたのです。

しかし、時代は長いウィスキー低迷期へと入ります。その間に、ここ「マルス信州蒸溜所」の貯蔵庫のストックも満杯となり、ウィスキーの蒸溜自体も休止のやむなきに至ります。

「マルス信州蒸溜所」のウィスキー貯蔵庫

それでも、先に触れたように「ハイボール」をきっかけに、ウィスキーへの関心が再び高まってきたことから――2010年、マルス信州蒸溜所のきわめて熟成状態の良いウィスキーを絶妙にブレンドした『岩井トラディション』が誕生したのです。

その商品名は、もとより日本の蒸溜釜の父ともいうべき岩井喜一郎に敬意を表して冠されたものであることはいうまでもありません。

さらに、2011年には念願だったマルス信州蒸溜所の再稼働、そして蒸溜釜の更新へとつながり、現在に至るのです。

今、マスターブレンダーを務める竹平考輝さん(53歳)の情熱はとどまることなく、マルスウィスキーを世界へ向けて発信し続けています。

テイスティングする竹平さん

標高800mの澄んだ空気と地下120mから汲み上げる豊富な天然水という恵まれた環境のなかで育まれる『岩井トラディション』は、ほどよくピートの効いた複雑な風味が特徴です。

本来、ウィスキーは食後酒ですが――ウィスキーを炭酸で割った、いわゆるハイボールであれば、食中でも十分に美味しく楽しめます。実際、このハイボールはなかなかのものですよ。

さて、お題料理と合わせてみましょう。料理は『岩井トラディション』が持つ、ほのかなピート香ともよく馴染みますし、サンマはもちろん、どの揚げ物ともぶつからず、ずっと下支えしてくれる感じがします。その意味では欠点はまったく見つかりません。

強いていえば、お皿のなかのどの食材ともぶつかることはないのですが、“素晴らしく引き立てる!”というところまではいかないのですが、さて――。

マルス信州蒸溜所の外観

いよいよ3本目、純米吟醸の生酒を合わせてみましょう!

>>次のページへ続く。

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