■1本目:芋焼酎『球(Q)』

洋食にもよく合いそうな『球』。720ml、1723円(税込み)

縦長に伸びた宮崎県の真ん中あたりに位置する海沿いの町、高鍋町――。晩秋から春にかけて旬を迎える天然真牡蠣が獲れる町として知られています。

もうひとつ町の顔として知られるのが、焼酎の蔵元「黒木本店」です。創業は明治18年(1885)。焼酎ブームの火付け役のひとつでもある『百年の孤独』というオーク樽長期熟成の麦焼酎で一躍名を馳せた蔵元です。

樫樽貯蔵庫

小さな地方の蔵にも関わらず、いち早く焼酎から出る“焼酎粕”と呼ばれる廃棄物を分解、有機肥料として再生するプラントを設置。その肥料を使って「甦る大地の会」と名づけた自家農場において、焼酎の原料となる芋や麦だけではなく、様々な野菜の無農薬栽培を行っています。

黒木本店は、そんな完全循環型農法を確立している稀有な酒蔵なのです。

焼酎粕再処理場

先ごろ、黒木本店前社長の黒木敏之さんが、高鍋町の町長になりました。

現在、蔵は息子兄弟が中心となって切り盛り、若い世代に向けた酒造りへのアプローチを模索中ですが――その一環として新たに生まれたのが『球(Q)』という芋焼酎です。

原料のサツマイモは「玉茜」を主体に「黄金千貫(こがねせんがん)」も使用。かつ、その仕込み方を変えた幾つかの原酒をブレンドしています。

ポイントは、アルコール度数を「14度」に設定していること。通常の本格焼酎(乙類)のアルコール度数は20度あるいは25度ですが、『球(Q)』が目指したのは、いわばワインのように、そのまま何も手を加えずに楽しめる食中酒としての芋焼酎です。

結果、導き出されたのが「14度」という絶妙なアルコール度数だったのです。

仕込み蔵の甕

『球(Q)』は食中酒としての焼酎の可能性を広げる1本となるに違いありませんが、今回のお題料理との相性は如何なものでしょうか。

芋焼酎『球』に使われている「玉茜」という品種は、中身もオレンジ色をしたカロテンを多く含んでいる芋です。このタイプの芋を使った焼酎は、紅茶のようなニュアンスや柑橘系を思わせる風味を感じさせます。

樽熟成させた「黄金千貫」もブレンドされているせいでしょうか、口当たりは軽くやわらかいのに、意外と個性の強さを持ってもいます。

ロックで試してみると、無花果(イチジク)の黄身衣揚げや松茸との相性の良さは抜群でした。肝ダレをつけた秋刀魚の竜田揚げには、ロックよりも常温ストレートのほうが、全体の味わいが馴染み、ボリューム的にも良かったように思います。

黒木本店の蔵へと続くエントランス

さて、次は国産ウィスキーを合わせてみましょう!

>>次のページへ続く。

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