文/藤本一路(酒販店『白菊屋』店長)
料理とお酒の新しい出逢い、その幸せなマリアージュを求めて――。月1回のこの連載では、旬の食材を使った家庭で作れる季節料理を「お題料理」として、私・藤本一路が日本酒・焼酎・ワインなど幅広い選択肢のなかから、これはと思う美酒と合わせて料理との相性を探ります。
料理のご紹介は、大阪・堂島にある割烹『堂島雪花菜(どうじまきらず)』のご主人、間瀬達郎さんです。いわば「旬の一皿×異酒」格闘技編という試みですが、さて、第4回目はどんなご報告ができるでしょうか。
8月のお題料理は「冬瓜と焼きナス 鴨の葛叩き カレー餡がけ」です。
「冬瓜(とうがん)」という字だけを見ると冬野菜のように思いますが、今が旬の夏野菜のひとつです。夏に収穫したものが冬まで貯蔵ができるという保存性の良さから、そう名づけられたのだそうです。
90%以上が水分で、冬瓜じたいに味が大してあるわけではありませんが、ビタミンCが豊富ですし、食欲が落ちる夏場に、そのさっぱりとした味わいは胃にも優しくて嬉しいですよね。
まずは料理の簡単なレシピから――。
冬瓜は皮をむいて、包丁で切り目を入れ、色目をよくするために塩と重曹を少々すり込んでおきます。一度湯掻いてから、干し海老を入れた鰹&昆布出汁に薄口醤油、味醂、塩で味を調整して炊いてください。
焼きナスは、焼いた後に出汁に浸けます。鴨は一口大に切って、うす塩を振り、葛を加えて湯通ししたものを器に盛ります。
カレー餡は鰹&昆布出汁に薄口醤油、味醂、塩、カレー粉、そして葛粉でトロミをつけます。最後に笹切りにして水にさらした青ネギの青い部分だけをのせて出来上がりです。
今回は「椀物」ですが――通常は、汁物にお酒を合わせる、ということはあまりありません。あえて合わせるポイントとしては、鴨肉とカレー粉が使われているところでしょうか。
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さて、今回のお題料理「冬瓜と焼きナス、鴨の葛たたき カレー餡がけ」に合わせて、私が選んでみたのは、次の3種のお酒です。
☆泡盛「春雨25度」(お湯割り)
☆赤ワイン「アミオ・セルヴェル ブルゴーニュ・ピノノワール2008」
☆日本酒「東北泉 雄町純米」