新世代の造り手が生み出す本格焼酎に惚れ込み、新たな酒と料理の楽しみを提案する酒場が今、熱い。東京、愛知、大阪、鹿児島で出会った珠玉の一軒へ。

スパイス巧みなフレンチと気鋭蔵の酒を立ち飲みで

店主の上松晃大さんと妻の菜穂さん。松の扉絵は晃大さんの祖父が描いたもので、鹿児島でバーを営んでいた父から譲り受けた。

東京・幡ヶ谷駅前の商店街にある『キッチンかねじょう』。10人前後も入ればいっぱいになるスタンディングスタイルのビストロで腕を振るうのはフレンチ出身の店主、上松晃大さんだ。メニューにはポークリエット、キャロットラペ、クスクス料理のタブレ(サラダ)といったフレンチ風惣菜をはじめ、妻の菜穂さんが焼くバゲットが並ぶ。お酒はワインと焼酎を中心にそろえる。ワインはともかく、フレンチに焼酎の組み合わせが面白い。

惣菜風の定番つまみは8〜10種ほどでカードに記されている。おすすめは黒板で案内。

「僕が鹿児島出身ということもありますが、自分が飲みたいお酒を選んだら、こうなりました。本格焼酎は、じつはジャンルを選ばないお酒。どんな料理にも合います」と話す上松さんは、実家への帰省を兼ねて焼酎蔵を訪ね、仕込みを手伝うこともある。

「熟成ハマチと河内晩柑のカルパッチョ」(1100円)には甘く香る『マグノリアサニークリーム』をお湯割りで。900円。

鹿児島の食材と焼酎を堪能

食材の多くは、鹿児島から取り寄せる。阿久根漁港で揚がった地魚が届き、カルパッチョは通年いただける定番だ。また、生で食べられる鮮度のイワシでつくるオイルサーディンも自慢のメニュー。缶詰のオイルサーディンとは異なり、じつに大ぶり。脂がのっているのに身の締まりがよく旨い。焼酎の飲み方の提案も、知覧茶のお茶割り、牛乳割りなどユニークなものがある。

「蔵元で教わった飲み方を紹介しています。造り手がすすめるのだから、おいしいに決まっている。それに合う料理をつくるのが楽しいですね」と上松さん。

「オイルサーディンとマカロニサラダ」950円。焼酎はクリアな飲み口の『なかむら 酵母無添加』(画像上・右)を3:1の“ちょい水割り”で。1000円。旨みののったイワシを焼酎が穏やかに包み込む。
「幸福豚のリエットとリュスティック」750円。焼酎は『大和桜 紅芋』(画像上・左)のソーダ割り900円。ベリーにも似た香りが豚肉の脂の甘さとよく合い、リュスティックに練り込んだハーブで味が引き締まる。

地元の人がふらりと立ち寄る、とても気軽な店。満席のようでも誰かが場所を空けてくれたりする。サクッと食べて飲んで帰る常連が多いのも、親しまれている店の証。週末は午後早めの時間からオープンするので、昼飲みにももってこい。暑くなるこれからの季節、まずはビール代わりにドライサワーで喉を潤し、料理をつまみながら次の焼酎を考える。そんな楽しみ方をしてみてはどうだろう。

毎日焼くパンも焼酎のおともにぜひ

キッチンかねじょう

東京都渋谷区幡ヶ谷2-47-1 本田ビル1階
電話:03・6276・1514
営業時間:月曜〜金曜16時〜23時(最終注文)、土曜14時〜21時(最終注文)、日曜8時〜10時、14時〜21時(最終注文)
定休日:不定
交通:京王線幡ヶ谷駅より徒歩約4分

サライ2025年7月号大特集は『夏に沁み入る本格「焼酎」』

 

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