ほっこりお湯割りが楽しい時期が到来。焼酎のポテンシャルをより引き出す割り方を、東京は下町にある、焼酎バーの店主に習った。
「ソーダ割り」に関する記事はこちら https://serai.jp/gourmet/1235754
「芋、麦、米、黒糖。お好きな焼酎でどうぞ!」
教える人 土山章裕さん(『焼酎Bar秘蔵)』店主)

「ソーダ割りとお湯割り。正反対な飲み方ですが、ポイントは共通してアルコール度数と温度にあります」と、東京・押上の『焼酎Bar秘蔵(ひめくら)』の主人、土山章裕さん。
まずはアルコール度数。ぐびぐび飲むソーダ割りは6度、ちびちび飲(や)るお湯割りは13度が目指す最適な度数。それぞれ、ビールと日本酒に近いアルコールの濃さだ。水分との比率は25度の焼酎なら、ソーダ割りは1:3、お湯割りはやや焼酎多めの1:1と覚えよう。
次に温度。ソーダ割りの炭酸ガスは冷たいほうが抜けにくい。最初に焼酎と氷をよくステアして、しっかり温度を下げてからソーダを注ぎ入れることで、キンキンに冷えたシャープな炭酸が楽しめる。
一方、お湯割りは日本酒のちろりを使うのが土山さん流。ちろりに焼酎と水を入れて、湯煎で30秒。目安は70℃だ。
「焼酎の香気成分は油分が多く、一度、熱く温度を上げることで格段においしくなるんです」
今回は芋焼酎を使ったが、原料によらず基本の作り方は変わらない。アルコール度数が異なる場合には、焼酎と水分の比率を変える。いつもの焼酎が劇的に旨くなる秘伝のレシピ、ぜひお試しを。
前割りなしでもまろやかに、焼酎の底力を存分に引き出す

よくあるお湯割りは、グラスに注いだ湯に焼酎を注ぎ加えるもの。だが、土山さんは、日本酒用のちろりでお燗にする。「黒千代香の代わりにちろりを使うイメージです。焼酎は、一度、熱々にすることでぐっと香りが開きます」。直前に同量弱の水を加えるが、この方法なら前割りと大差ないまろやかさになる。
「お湯割りはどんなタイプの焼酎でもいけますが、特に黒麹のどっしり系がおすすめです」
「焼酎は、一度、熱々に温度を上げると抜群に旨くなります」
1.ちろりに焼酎を入れる

ちろりに焼酎(25度)60mLを注ぎ入れる。写真は錫のちろりだが、アルミのちろりなどでも構わない。
2.水を加える

水50mLを加える。水と焼酎の割合は半々でもいいが、やや焼酎を多くしてアルコール度数を上げたほうが、ちびちびと楽しめる。
3.湯に浸す

鍋に湯を沸かし、沸騰したら中火にして、ちろりを浸す。30秒〜1分ほどで引き上げて味見をする。ちょっと熱いなと思うくらい(70℃)まで温める。
4.“お燗タージュ”する

ちろりを高く持ち上げて、焼酎を空気に触れさせるようにして、お猪口に注ぐ。このように、“お燗タージュ”すると、焼酎の香りがよく立って、よりまろやかな味になる。燗冷ましになってもおいしい。
お湯割りに向くのは「どっしりタイプ」

土山さんの旨い焼酎の割りが堪能できる店はこちら!
焼酎Bar秘蔵


東京都墨田区向島4-26-6
電話:03・3625・1856
営業時間:18時〜23時(最終注文)
定休日:水曜
交通:東京メトロほか押上駅A3出口より徒歩約7分
※お通し1000円。焼酎は600円〜。予約でコースあり。
取材・文/渡辺菜々緒 撮影/鈴木泰介












