江戸時代から続いてきた鮨、天ぷら、蕎麦、そして昭和の時代に発達した焼き鳥は東京の食文化。老舗から新店まで、足を運びたい店を紹介する。

名店の流れをくむ技術で厳選した食材を揚げ極める

江戸前天ぷら ふく庵 門前仲町

潮の穏やかな東京湾の竹岡沖で獲れたメゴチは、今や希少な天種だ。長崎県対馬産の穴子、車海老は活けの状態で仕入れる。

“江戸最大の八幡様”として親しまれている富岡八幡宮からほど近い。階段で上るビルの2階に『ふく庵』はある。店主の中島昭彦さん(48歳)は、天ぷらの名店『みかわ』の早乙女哲哉さん(※現在は『みかわ是山居』の店主。)に師事して腕を磨いた職人だ。夜のコースは5500円~と良心的な価格だが、素材選びから抜かりはない。

「江戸前の天ぷらの魚はたっぷり太ったものがよしとされています」と中島さん。東京湾の希少なメゴチや鱚をはじめ、身の肥えた選りすぐりの魚を仕入れる。自身が好きな野菜は週に一度、地方へ買い出しに行くという熱の入れようだ。夏には、瑞々しいアスパラガスやいんげんなどが天種となる。

穴子は調理の直前に締め、火の通りにくい皮側の衣を薄くしてじっくりと揚げる。ふっくらとした身、コクのある味わいに感嘆する。

衣づくりにも余念がない。

「衣は鮨のシャリと同じで、空気を含ませることが肝要です。衣の材料を混ぜる際は、粉と水と空気が1対1対1に混ざるイメージを持てと師匠には教わりました」と中島さんは巧みに菜箸を動かしながら衣づくりに集中する。綿菓子のような食感の衣が理想だという。

メゴチは松葉に似た形の松葉おろしにして揚げる。身は弾力があり緻密、清らかな香りの余韻がある。
体長約8cmの稚鮎はたで酢で味わう。8月は同サイズで子を持った子持ち鮎が登場する日もある。

揚げ方も師匠に倣い、いかに素材の水分を飛ばして旨みを凝縮するかに注力。ふっくらとした身に旨みを湛える穴子などは絶品だ。終始、名人譲りの美味を楽しめる。

7700円のコースに付くお造り。春夏は北海道産の蝦夷鮑を生山葵で味わう。秋冬はふぐの造りとなる。日本酒は1合680円~。

江戸前天ぷら ふく庵

東京都江東区富岡1-22-26 杉田ビル2階
電話:03・5646・6365
営業時間:12時~12時30分、18時30分~20時(ともに最終入店)
定休日:日曜、祝日の月曜 10席、要予約。

東京メトロ門前仲町駅より徒歩約3分、都営地下鉄門前仲町駅より徒歩約7分。

※この記事は『サライ』本誌2023年9月号より転載しました。取材・文/安井洋子 撮影/海老原俊之

 

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