評判の老舗店で味わう

ここでは、とんかつ激戦区の上野で、とりわけ評判の老舗3店をご紹介する。とんかつと一口にいっても、それぞれの店では独自のやり方で、豚肉の旨味を引き出している。どの店でも会計を済ませた客の誰もが、満足げで幸せそうな顔をしていたのが印象に残る。

名匠・小津安二郎がこよなく愛したヒレカツ発祥の名店

蓬萊屋

創業は大正3年(1914)。ロース肉が主だったところにヒレ肉を使い「ヒレカツ」を最初に出した店として知られる。カリッと揚がった薄い衣に、ヒレの旨味が滲み出る。「ヒレカツ定食」3500円。
小津監督が映画のセットの参考にしたという2階の座敷。映画『秋日 和』では「松坂屋の裏のとんかつ屋」という台詞で店が登場。
『蓬萊屋』のヒレカツをこよなく愛した映画監督、小津安二郎(1903~63)の色紙(複製)が、1階の壁に掲げられている。
1度目は高温で1分、カリッと揚げて、2度目は低温で9分じっくり熱を通す。とんかつの2度揚げを始めたのも『蓬萊屋』が最初とされる。

蓬萊屋

東京都台東区上野3-28-5
電話:03・3831・5783(予約可)
営業時間:11時30分~14時30分(最終注文14時)、
土曜・日曜・祝日は17時~20時30分(最終注文19時30分)も営業 
定休日:水曜
交通:JR御徒町駅より徒歩約3分 35席。

落語家、林家正蔵さんが上野の「三大うまいもの」を挙げてくれた。それは「そば」「うなぎ」「とんかつ」だという。特にとんかつの名店が上野には多く、ときに「とんかつの聖地」と呼ばれることもある。

なぜ上野にとんかつ店が多いのか? 今回、取材で訪れた『井泉本店』の主人、石坂桃子さんによれば

「上野は昔から洋食屋さんが多く、牛肉のカツレツを出していました。そんなお店が豚肉のカツを提供すると好評で、次第に広まっていったと聞いています」

という。

文献(※『明治洋食事始め とんかつの誕生』(講談社学術文庫))によると、銀座の『煉瓦亭』が明治28年(1895)に「ポークカツレツ」を売り出し洋食として浸透していった。昭和初年に上野で分厚い肉の「とんかつ」が売り出され、定番の洋食として根付いていったという。

「お箸できれるやわらかいとんかつ」が評判。かつサンド発祥の店

井泉本店

昭和5年(1930)創業。当時の面影を残す店で「お箸できれるやわらかいとんかつ」を提供し続ける。かつサンドは、下谷(したや)の芸者衆の口元が汚れないようにとの気遣いから生まれた。9切れで1500円、おみやげにも人気の一品。
箸で食べやすく、とんかつは「和食」なのだと実感する、ヒレかつ定食は2000円。ロース定食は1500円と大衆価格なのも魅力。

井泉本店

東京都文京区湯島3-40-3
電話:03・3834・2901(予約可)
営業時間:11時30分~20時(最終注文19時50分) 
定休日:水曜(祝日の場合は営業)
交通:JR御徒町駅より徒歩約3分 50席。

低温でじっくり揚げ熱を通しすぎず肉の旨味を引き出す

上野とん八亭

創業は昭和22年(1947)、開店前から行列ができる人気店。低温の油で12分ほどかけてじっくり揚げると、脂身と赤身が絶妙のハーモニーを見せる。ロースかつ定食2100円。

上野とん八亭

東京都台東区上野4-3-4
電話:03・3831・4209
営業時間:11時30分~14時30分(売り切れ終了)
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、臨時休業あり
交通:JR御徒町駅北口より徒歩約
4分 14席。

※この記事は『サライ』本誌2023年9月号より転載しました。取材・文/宇野正樹 撮影/藤田修平

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