江戸時代から続いてきた鮨、天ぷら、蕎麦、そして昭和の時代に発達した焼き鳥は東京の食文化。老舗から新店まで、足を運びたい店を紹介する。

目の前から好みの素材を選びワインと共に自由に楽しむ

天ぷらとワイン しの 西麻布

外苑西通りに面したカフェに入り、階段を上がる。このカウンターの天井は月をイメージしたデザイン。個室もある。

天ぷらは好きだが、コースで食べると少々量が多すぎるという方にうってつけの店がある。小ぶりの天ぷらを好みに合わせて単品で注文できるのが、西麻布にある『天ぷらとワイン しの』だ。

左から長茄子400円、海老1300円、万願寺とうがらし(赤と緑の2種)700円、とうもろこし600円。通常はひとつずつ出される。

白い衣の品のいい天ぷらを2つ3ついただくと、あっさりとした食べ心地に、思いのほか多く食べてしまうかもしれない。それでも、食後の胃は軽やかである。

「白い衣は、米を餌にした鶏の卵を使っているからです。油は太白胡麻油をベースにしています。食感は軽く、服に香りが残るようなこともありません」と料理長の篠彰喜さん(48歳)。長年和食の調理に腕をふるい、なかでも揚げ物が得意で、今に至る。

野菜は20種類以上、魚介は10種類以上を揃えている。鮮度の良い魚は刺身にしてもらうこともでき、店には炭火があり、焼き物にもできる。野菜と魚介を合わせた小鉢や、好きな食材を組み合わせてかき揚げを作ってもらうなど、使い勝手のよい小料理屋ともいえる。

ある日の野菜。カウンターに座ると食材を見せてくれる。その中から食べたいものを選び、作ってほしいものを話しながら決める。

また、フランスの銘醸ワインを揃え、グラスで注文できる。落ち着いた瀟洒な空間で、天ぷらとワインを楽しみたい。

一品料理の鱧と賀茂茄子の揚げ出し 実山椒のみぞれあん1200円。ワインはフランス産が中心。グラスワイン2000円〜。
料理長の篠彰喜(しのあきひさ)さん。
昭和50年、東京生まれ。『山の上ホテル』や『東京ベイコートクラブ』、銀座の和食店で腕を磨いてきた。

天ぷらとワイン しの

東京都港区西麻布4-2-15 水野ビル2階
電話:なし(予約はInstagramから※https://www.instagram.com/tempura.wine_shino/
営業時間:18時~23時(最終入店、要予約)
定休日:日曜、不定休あり 10席。

東京メトロ広尾駅から徒歩約8分、六本木駅から徒歩約10分。西麻布交差点から近い。

※この記事は『サライ』本誌2023年9月号より転載しました。取材・文/浅妻千映子 撮影/福田栄美子

 

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