2020年、世界最高水準の安全・安心・楽しい機能を誇る車たち。
その中から、いま評判の「いい車」に試乗してみた。
今回は、スバル XVとボルボ XC 40の2台を紹介する。
4輪駆動と自動ブレーキの先駆。雪でも雨でも安心感がきわだつSUV
スバル/XV
【歴史】インプレッサ・グラベルEX 1995〜2000年
日本のメーカーでもっとも早く高性能カメラを用いた“自動ブレーキ”のシステムを搭載し、多くの運転支援装置の普及に取り組んできたスバル。その世界トップクラスの運転支援システムが、昨年秋からXV全車に標準装備された。
スバルが誇るもうひとつの技術、4WDの統合制御システム「XMODE」にも、新機能が加わった。雪道や砂利道などの滑りやすい路面のほかに、深雪やぬかるみといった、タイヤが埋まってしまうような状況を克服する走行モードが選べるようになった。冬場に雪道を走ることの多い運転者には心強いし、最近は都市部でも突然の豪雪に見舞われることが多い。備えあれば憂いなしである。
常時4つの車輪に駆動力を配分するスバルの4WDシステムは、雪の日だけでなく、日々の安全運転を支援する。雨の日や強風時に、細かな横滑りを防ぎ、運転者の疲れを減らしてくれるのだ。
XVは2017年に欧州の自動車アセスメント「Euro NCAP」で、最高位の評価(5つ星)を獲得した。雨の日にXVで高速道路を走ってみると、世界が認めた抜群の安心感を実感できる。
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日本で初めて完全停止自動ブレーキ車を発売した安全車の雄
ボルボ/XC 40
【歴史】デュエット 1953~1960年
今では当たり前のように装備されている3点式シートベルト。1959年にこれを発明したのは、ボルボである。「安全は独占するものではない」と、その特許を無償で公開し、現在のような普及をみている。これは一例に過ぎないが、“誰にでも安全は平等である”というボルボの姿勢は、今も健在。ボルボの中では価格が安いXC40にさえ、じつに16種類以上の安全装備が標準装備されているのだ。
レーダーとカメラで検知するXC40の自動ブレーキは、車はもちろん歩行者と自転車、さらにはヘラジカやトナカイ、馬などの動物にも対応(いかにも北欧らしい)。夜間検知も可能な高性能タイプだ。
ときに、対向車がセンターラインを越えて自車の車線に入ってくることがある。その際にも、対向車の接近を検知し、衝突を回避できない場合は、被害を抑えるために自動ブレーキが作動する。
日本で初めて完全に止まる自動ブレーキ車を販売したボルボ(それまでの自動ブレーキは減速しても完全には停まらなかった)。その安心装備と軽快なフットワークを備えたXC40は、今回の長距離試乗中、何度も小さな運転ミスを注意喚起してくれた。
※この記事は『サライ』本誌2020年3月号より転載しました。(取材・文/櫻井 香、佐藤篤司、石川真禧照 撮影/尾形和美、小池義弘、篠原晃一、萩原文博、佐藤靖彦)