2020年、世界最高水準の安全・安心・楽しい機能を誇る車たち。
その中から、いま評判の「いい車」に試乗してみた。
今回は、マツダ CX-30とアウディ A1 スポーツバックの2台を紹介する。
狭い道のすれ違いでも安心な360度の俯瞰モニター搭載SUV
マツダ/CX-30
【歴史】ベリーサ 2004~2016年
ボディの側面に映り込む景色がS字にゆがんで見える。この映り込みが車を流麗に見せる。これも設計者の狙いである。そして、マツダが長年磨き上げてきたディーゼル特有の滑らかに加速する力強い走りや、SUVならではの高さのある荷室も魅力である。だが、それ以上に世界的に評価が高いのが、高度な予防安全機能だ。その証拠に、欧州の自動車アセスメント「Euro NCAP」(ユーロ エヌキャップ)では、2019年に最高位の評価(5つ星)を得ている。
たとえば、バックで駐車スペースから出るときに試してみると、左右から近づいてくる車両を、すぐに検知してアラーム音で教えてくれる。そのため、ヒヤッとすることはかなり減る。この「後側方接近車両検知」という機能は、高速道路のサービスエリアやショッピングセンターなど、混み合う駐車場で心強い装置だ。
さらに、車両周辺の見えにくい死角エリアの確認を助ける「360度ビュー・モニター」はバックで駐車するときだけでなく、前進時にも俯瞰画像で車の周辺を確認できる。見通しのよくない脇道から大通りに出るときや、狭い道でのすれ違い時にとても心強い。
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街も山道もきびきび走る 小粒だがぴりりと辛い欧州車
アウディ/A1 スポーツバック
【歴史】アウディ/50 1974~1978年
昨年秋から日本への導入が始まったA1の最新型は見た目は上品な佇まいだが、欧州が鍛えた小さな万能選手だ。
乗り込んでみると、まず視野が広く感じられる。車両の周囲がしっかりと見渡せ、市街地での使い勝手は抜群にいい。
高速道路を走れば、アウディの上位モデルにも匹敵するゆったりとした高速走行を味わえる。クルーズコントロール(車速・車間維持装置)を作動させれば、楽に長距離を移動できる。しばらく高速走行をしていると、4気筒エンジンのうち、ときどき2気筒が休止することに気づく。この「気筒休止システム」により、燃費を節約して長距離を走ることができる。
このA1は“スポーツバック”という副名称のとおり、堅牢な車台とボディに、欧州の山道や高速道路走行をものともしない上質なサスペンションを装備している。その本領が発揮されるのは、郊外の山道で、うねうねしたワインディングロードを走るときだ。最小限のブレーキのみを利かせれば、速度をある程度保ったままカーブをひらりひらりと駆け抜けていくことができる。これが、なんとも気持ちいいのである。
※この記事は『サライ』本誌2020年3月号より転載しました。(取材・文/櫻井 香、佐藤篤司、石川真禧照 撮影/尾形和美、小池義弘、篠原晃一、萩原文博、佐藤靖彦)