2020年、世界最高水準の安全・安心・楽しい機能を誇る車たち。
その中から、いま評判の「いい車」に試乗してみた。
今回は、DS DS 3 クロスバックとフォルクスワーゲン パサートの2台を紹介する。
座り心地よく、走りはしなやか。いかにもフランスらしいSUV
DS/DS 3 クロスバック

「DS」は、シトロエンが2014年に始めた新ブランド。今回試乗したDS 3 クロスバックは、フランス伝統の合理的な設計に華やかさが加わったコンパクトSUV
原動機 ガソリンターボエンジン 全長×全幅×全高 4120×1790×1550mm ホイールベース 2560mm 車両重量 1270kg エンジン排気量 1199cc 乗車定員 5名 最高出力 130PS 最大トルク 23.5kg-m 燃料消費率 15.9㎞/L(WLTC モード) 燃料 ガソリン・44L
車両価格 363万6000円(税込み・SO CHIC) 問い合わせ: DSコール 0120・92・6813
【歴史】シトロエン/DS 1955年~1976年

先進的デザインと油圧統合制御で一時代を築いた。その哲学は現在のDSに受け継がれている。
DS 3 クロスバックは、フランス車伝統の合理的な作りに加えて、豪奢な演出が満載。外観は彫刻刀で削り出したような面と、宝石のように輝くライト類、彫りの深い顔を誇る。かつてのSUVにあった「道具」感はない。
室内も同様。ルーブル美術館のガラスピラミッドから着想を得たという、菱形デザインのスイッチ類やシートのステッチが印象的だ。それでも嫌味に感じないところが、美の先進国フランス流の洗練。
運転してみると、第一印象としてはふんわりと柔らかく感じる。しかし、それでいて揺れを速やかに収める、しっかりした乗り味である。荒れた路面や石畳などで磨かれた足回りと、ふんわりと体を受け止めるシートのおかげだろう。
安全装備も抜かりなし。高速道路で便利なクルーズコントロール(車速・車間維持機能)に加え、車線内の右寄り・中央・左寄りのいずれかを走るかまで選択できる、車線維持機能が付く。
長時間の運転でも疲れにくい。ほかの自動車メーカーにはない個性と乗り心地の良さが、適度に気分をリフレッシュさせてくれるからだろう。

菱形でデザインされた、独創的な室内。好き嫌いは分かれるだろうが、機能一辺倒ではない、前衛美術作品のような魅力がある。

柔らかい座席は、走行中のサポート性も優秀で疲れにくい。フランスの椅子の文化が作り上げた名品だ。

荷室の左右は91cm。奥行きは67cmで、後席を倒すと124cmに。床面は段差が目立つ。荷室高は81cm。

エンジン出力は130PSと控えめ。経済性重視のフランスらしい。8速オートマチック変速機で非力さを克服している。
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名車ゴルフよりも長い歴史を誇る ドイツ人自慢の質実剛健セダン
フォルクスワーゲン/パサート

フォルクスワーゲン特有の知的で威圧感のないデザインは、「10年乗っても飽きない」と称される。パサートは、高級感も充分で、長く乗りたい人には最適の選択肢だ。
原動機 ディーゼルターボエンジン 全長×全幅×全高 4785×1830×1470mm ホイールベース 2790mm 車両重量 1560kg エンジン排気量 1968cc 乗車定員 5名 最高出力 190PS 最大トルク 40.8kg-m 燃料消費率 20.6㎞/L(WLTC モード) 燃料 軽油・59L 車両価格 506万5000円(税込み・TDIハイライン) 問い合わせ:フォルクスワーゲン 0120・993・199
【歴史】パサート(初期型)1973~1981年

1973年、ゴルフより早く登場した初代はハッチバック・スタイル。後に4ドアセダンとなる。
パサートは、日本ではそれほど有名ではないが、じつは同じフォルクスワーゲンの名車ゴルフよりも歴史が長い。飾り気は希薄だが、簡素で清潔感のある外観・内装は、国産車を愛用してきた人にもなじみやすいデザインだろう。
運転席に座ると、広いフロントガラスによる見晴らしの良さ、車体の見切りの良さが一目瞭然。駐車時の取り回しもしやすい。後席は足を組めるほど広々としている。荷室は、大きな旅行鞄やゴルフバッグを積んだ後に、お土産をたくさん積めるくらいの余裕がある。
乗員空間と荷室が別々で、車外の音が聞こえにくいのも、セダンならではの利点。ガソリンエンジンも選べるが、ディーゼルエンジン仕様の乗り味がとてもよい。遮音性の高さのおかげで、もともと静かなディーゼルの音がまったくといっていいほど気にならない。
高速道路で、クルーズコントロール(車速・車間維持装置)や車線維持機能のサポートを受けながらゆったり走っていると、燃料計がなかなか減らない。無給油で900km以上も走れる燃費性能をカタログ上で誇る優等生である。
セダンという王道の良さを楽しむなら、最適の一台だといえよう。

もともと取り回しがしやすい上に、カメラ画像によるサポートも付き、安心感は抜群。モニターは9.2インチの大画面で、見やすい。

座席はしっかりと体を受け止めてサポートしてくれる。人によっては硬めに感じるかも。

荷室の左右は106~140cm。奥行き117cmで、後席を倒すと183cmになる。開口部は5cmと高さがあり使いやすい。

2018年から導入されたディーゼル車は、抜群の経済性を誇る。静粛性も高く、快適だ。
※この記事は『サライ』本誌2020年3月号より転載しました。(取材・文/櫻井 香、佐藤篤司、石川真禧照 撮影/尾形和美、小池義弘、篠原晃一、萩原文博、佐藤靖彦)
